MONEY

家族リレー、上手なバトンタッチを! ~第2回 生前贈与あれこれ~

ためる 内山 貴博

家族リレー、上手なバトンタッチを! ~第2回 生前贈与あれこれ~

photoAC

目次

「私が亡くなっても相続税はかからない!」

嬉しいやら、ちょっと寂しいやら・・・と複雑な心境になりそうですが、相続税の概要を知ることで、ひとまず奥さんや子どもたちが、高い税負担を強いられることが無さそうということが把握でき、多くの方がひとまず安心できると思います。(第1回より)

▼第1回記事はこちら
家族リレー、上手なバトンタッチを! ~第1回 相続や生前贈与の全体像をキャッチ~

でも、ここで安心してしまうと上手なバトンタッチといかないことも。むしろ相続の問題は相続税よりも財産の分け方にあります。実際に相続税が課税されない資産クラス、1,000万~3,000万の層での相続トラブル(調停など)も多いようです。誰が自宅を引き継ぐのか、葬儀費用はどのように負担するのか? トラブルの要因は尽きませんので、1つ1つ不安の芽を摘んでいく必要があります。

加えて、住宅取得や子育てなど大きなお金を必要とするイベントがたくさん控えている若い夫婦がお金に余裕がなく、一方で、シニア世代が国民の金融資産の大部分を占めているという現状があるように、お金を必要としている人と実際にお金がある場所にズレがある状態です。よって、そういった若い世代に該当する子どもたちを支援したいという親御さんも少なくないと思いますが、この場合、前回確認しましたように生前に贈与することとなり、贈与税が発生してしまうことも。

そこで、今回は上手に財産を分割する方法の1つとして生前贈与対策についてお伝えします。上手に活用することで、シニア世代からお金を必要としている若い世代への資産の移転も進みそうです。

各種非課税制度を有効活用

亡くなるまでお父さんが財産を所有しておけば、残された家族に相続税はかかりそうにない。でも、早めに資産を子ども達に渡すことで有効活用してほしい・・・。そんな時に検討したい非課税制度がいくつかあります。

そのうちの1つが相続時精算課税です。相続時精算課税は60歳以上のお父さんやお母さんが20歳以上の自分の子どもに対して2,500万円まで非課税で贈与することができます。通常の暦年課税110万円と比べると非常に大きな非課税枠ですね。

ただし、文字通り「相続の時に精算する」ため、お父さんが亡くなった時に相続税の計算上、他の相続財産と合算して相続税を計算する必要があります。亡くなった際の財産が1,000万円で、相続時精算課税を活用した贈与額が2,500万円であった場合、3,500万円が相続税計算上の総遺産額となります。

ただ、相続税の基礎控除額が大きいため、結果的に相続税も非課税となることも十分に見込めます。よって、大きな財産を贈与税がかからず生前に渡すことができ、最終的に相続税もかからない。うまくいけばこのような展開も見込めるため検討したい制度の1つです。ただし、一度この制度を選択しますと通常の暦年課税(年110万円)はもう使えません。長期的に計画的に行っていく必要があります。

木の家
photoAC

住宅取得は生前贈与のチャンス

子どもが住宅取得を行う際、親が一定額まで非課税で贈与できる制度もあります。この制度を使うと、原則、700万円(平成29年9月まで、それ以降は500万円)まで非課税で贈与できます。通常の110万円の枠と合算できるため、810万円まで非課税で渡すことも可能です。

直系尊属(両親や祖父母)からの贈与が対象のため、おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんの住宅取得を支援する際にも活用できます。

教室
photoAC

教育資金や結婚・子育て資金にも非課税枠!

住宅取得資金同様、直系尊属が教育資金や結婚資金を一定の非課税枠で贈与できる制度もあります。最大で教育資金として1,500万円、結婚・子育て資金として1,000万円、非課税で贈与することが可能です。

それぞれ金融機関に信託するといった仕組みを使い、また、例えば結婚・子育て資金のうち結婚式にかかる費用は上限300万円といった各種支出項目に細かいルールなどもあり少し複雑ですが、これだけまとまった金額を生前贈与できますので、お子さんやお孫さんのライフイベントを資金的に援助したいと考えている方はもちろん、相続税対策としても有効活用できそうです。

1回目と今回のコラムを通して相続税や贈与税の仕組みなどを確認してきました。相続は自分の大切な人の相続と、自分自身の相続と2つの立場で考える必要があります。法律や税金など複雑で難解なイメージがありますが、まずはできることから1つずつ実施してみてください。

こればかりは、いつその日が来るか分かりません。大切な家族のためにも一度真剣に向き合ってみてください。その結果、スマートなライフプランを描くことにつながるかもしれませんよ。

※上記は簡潔にまとめていますので、詳細は税務署等でご確認ください。

App store
Google play