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相続は20代も人ごとではない!これだけは知っておきたい、相続法改正の変更点

そなえる 権藤 知弘

相続は20代も人ごとではない!これだけは知っておきたい、相続法改正の変更点

【画像出典元】「iStock.com/Motortion」

相続というと、若い人にとってはあまり身近ではない話題かもしれません。「財産を分けるときに、あそこはもめたらしい」など、どちらかというとネガティブなイメージを持っている人も多いでしょう。その相続にまつわる法律が平成31年1月から令和2年7月にかけて段階的に改正されるようになっています。今はあまりピンとこなくても、身内の誰かの死によって急に直面するのが相続です。今回は改正される相続法に関してみていきましょう。

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相続法改正では何が変わる?いつから施行される?

仲良しの老夫婦
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日本の法律には民法という法律があります。
民法は日常的な取引や契約等の基本になるもので、その民法では、亡くなった人(被相続人)の財産がどのように承継されるかなどに関する基本的なルールが定められており、「相続法」などと呼ばれています。この相続法は1980年に(昭和55 年)に改正されて以来、大きな見直しがされてきませんでした。

一方で平均寿命が延びて高齢化が進み、社会の情勢が変化していく中で、これまでの法律では時代に合わなくなってきた部分についてのルールが大きく見直しをされたのです。

改正前よりも配偶者が多くの遺産を承継できるように

大きく変わったところとしては居住用不動産の取り扱いです。人が亡くなる=相続が発生した場合、これまでは配偶者が共に住んでいる家(居住用不動産)の生前贈与を受けていたとしても、これは贈与ではなく遺産とみなされるため、配偶者が家をもらった場合、家以外の遺産の取り分が減ってしまうことになっていました。
しかし改正後は20年以上の婚姻期間があり、住んでいる家(居住用不動産)の生前贈与を受けていれば遺産分割の対象外となり、結果として配偶者の受け取り分が増えることになります。

相続人ではない長男の妻も金銭請求ができるように

車椅子の老人と若い女性
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現在、高齢の両親の介護は、長男の妻が担うケースが多くあります。ただ、長男の妻は両親の相続人にはなれず、相続で何も得られないことが問題となっていました。今回の制度改正により、長男の妻など相続人以外の親族が介護や看病をしてきた場合、他の相続人に対しての金銭請求権が認められるようになります。この権利を得ることで、遺産を相続した人に対して寄与に応じた金額の支払いを求めることができることになります。これは大きく変わった点といるでしょう。

改正前は夫の死後、妻は自宅にも住めなかった?

現行の制度では相続財産にもよりますが、夫が亡くなった場合、相続人である妻が居住建物をもらう場合、他の財産を受け取れなくなってしまうケースがありました。今回の改正により、妻が相続開始時に夫所有の建物に住んでいたときは、配偶者は遺産分割の際に配偶者居住権を取得することで、終身又は一定期間、その建物に無償で住み続けることができるようになります。

遺言書を作っておくことは大事

相続に関しては、相続が発生するまでの事前対応と相続発生後の対応という二つの側面があります。また、被相続人と相続人という立場の違いでも大きく対応が変わってきます。そのため遺言書があるかないかで相続がスムーズにいくかどうかが決まるといえるでしょう。
相続に関して相談があった場合は、まず被相続人がどうしたいのか?が大事であることと遺言書を準備しておくことを勧めています。

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改正のポイントまとめ

改正点は上にあげた事例以外にもいくつかあります。細かい内容に関しては割愛をしますが、ポイントとしては「超高齢社会へと進む現在の社会状況に対応するため」ということです。
40年ぶりの改正ということで、今後の相続のあり方に大きな影響を与えるものとなっています。
相続はいつかはあるものです。ちょっとだけ頭の片隅においておきましょう。