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厚生年金と国民年金の違いを総ざらい、支給額・切り替え・増やす方法

そなえる 内山 貴博

厚生年金と国民年金の違いを総ざらい、支給額・切り替え・増やす方法

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目次

監修・ライター

内山 貴博

内山FP総合事務所株式会社 代表

内山 貴博

ファイナンシャル・プランナーCFP®

こんにちは、FP(ファイナンシャルプランナー)の内山です。
今回取り上げるテーマは厚生年金と国民年金。みなさんは老後に受け取ることができる年金の受給額がいくらもらえるか把握されていますか。老後若い人を中心に年金への不信感を口にする人が増えていますが、老後やいざというときを考えると、とっても頼りになる制度です。

ここでは、厚生年金と国民年金の仕組みと受給額の違いを比較しながら解説。専業主婦とサラリーマン、パート、自営業者(個人事業主)ではどう違うのか、さらに、具体的な年金切り替えの方法や手続きが間に合わずに国民年金と厚生年金の両方を重複して払ってしまった場合の対応について、さらに支給額が足りなければ、自分自身で上乗せしていく方法もお教えします。年金制度の仕組みをしっかりと知ることで、年金と上手に向き合ってください。

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1)「厚生年金」と「国民年金」の違いとは?

「私は会社員だから厚生年金、あなたは自営業だから国民年金」といった言い回しを何度か聞いたことがありますが、これは厳密には誤りです。厚生年金と国民年金の違いは、以下の図表のように、全員が基礎年金として加入しているものが「国民年金」で第2号被保険者にあたる会社員や公務員に上乗せされている年金が「厚生年金」となります。

よって、自営業の人と勤務している人とでは、将来の年金額に違いはあります。また、第2号被保険者の中でも、大きな違いが生じることも。厚生年金部分は「何年会社員として勤めたのか?」、「どれだけお給料をもらっていたのか?」といったその人の報酬に比例する制度になっているためです。

国民年金

会社員や自営業、専業主婦など全ての人が加入する年金です。基礎年金とも呼ばれます。

厚生年金

会社員や公務員が国民年金の上乗せとして加入する年金です。保険料は会社が半分負担してくれます。

2階建てになった年金の図

1-1.「国民年金」ってそもそもどんな制度?
上で述べたように国民年金は基礎年金に該当し、20歳から60歳まで原則全員加入することが求められます。40年加入した場合、65歳から受け取れる年金額の満額は77万9300円(平成30年度)です。
60歳以上でも未加入期間などで年金が少ない人は、65歳まで任意で加入することができます。また、年金の受給資格を満たしていない場合は、70歳まで加入を継続できます。

なお、第3号被保険者とは、第2号被保険者の被扶養者であり、一般的にいわれる表現を用いますと、「サラリーマンの妻」となります。夫が会社員や公務員で、本人が専業主婦やパートなど一定の年収以下の場合、第3号被扶養者となり、保険料を払うことなく国民年金に加入していることになります。

1-2.「厚生年金」ってどんな制度?
原則、会社員、公務員が加入する年金制度です。個人事業形態であっても、常時5名以上雇用している場合は、厚生年金制度に加入することになります。
厚生年金は20歳未満や60歳以上も対象となるため、例えば高校卒業後18歳で働き始めた場合なども厚生年金保険料を払うことになります。保険料率は標準報酬月額や標準賞与額の18.30%で、この割合を労使折半で負担することになります。つまり、お給料やボーナスの額から9%程度が保険料の目安となります。

2)「厚生年金」と「国民年金」の受給額の違い

サラリーマン
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国民年金のみに加入している場合と厚生年金にも加入している場合を比較した際、大きな差となって現れるのが老後年金の受給額です。上の図1でも分かるように、厚生年金が上乗せされている分、厚生年金に加入している人は受給額は当然多くなります。具体的な受給額の違いを以下みていきます。

2-1.「国民年金」の受給額はいくら?(同じ条件でシミュレーション)
平成30年度の国民年金受給額(満額)は77万9300円/年です。受給額を月単位にしますと、約6万5000円、決して多いとはいえませんよね。さらには、大学生などが「学生納付特例制度」などで納付を免除していた期間は年金受給額に反映されないため、その分、減額されることになります。

例えば、Aさんは20歳から22歳で大学を卒業するまでの24月、学生納付特例制度で納付を免除していたとします。その後、実家の事業を継ぐために自営業者として働き、60歳まで国民年金に加入したとします。この場合、老後の年金受給額は以下のようになります。
〇77万9300円×(480—24)/480=約74万円
40年間加入していた人に比べて、約4万円ほど年金が少なくなります。

2-2.「厚生年金」の受給額はいくら?
では、上記学生納付特例制度を利用していたAさんが大学卒業後、自営業ではなく会社員として60歳まで勤務した場合の受給額はどうなるでしょうか?

基礎年金部分は同じ額となるため、約74万円です。それに加えて38年間の厚生年金が受給額に加わります。38年間の平均標準報酬額が40万円の場合、厚生年金の受給額は約100万円です。
よって、年間の受給額は174万円となり、自営業のケースより明らかに多いですね。

2-3.自営業と会社員では大きな違いが
会社員として厚生年金の上乗せがあることで、かなり受取る年金額に違いが生じますね。さらに厚生年金の場合、年金の家族手当ともいえる加給年金という制度があります。厚生年金に20年以上加入し、年金受給時点で65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合に一定額の年金額が上乗せされます。こういった制度も考慮すると、一段と会社員の方が充実していますね。

3)受給額の少ない「国民年金」を補うために、年金を増やす方法

フリーランスの男性
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自営業者にとっては、なんともうらやましい厚生年金制度。ただ、自営業の方も自ら工夫することで年金額を増やすことができます。その代表例が最近よく聞くようになったiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。それ以外にも、国民年金基金や付加年金といった老後受け取る年金額を増やす方法はまだまだあります。

月々の金額はわずかでも、将来の年金額にじりじりと影響を与えます。自営業の方はこういった制度への加入を積極的に検討してみてください。

3-1.「国民年金基金」とiDeCo(個人型確定拠出年金)どちらが良い?
自営業者が年金受給額を増やす制度の代表格が「国民年金基金」です。そして、同じく国民年金基金連合会が管理する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。2つ合わせて月額6万8000円まで加入することができます。

国民年金基金はA型・B型などさまざまなタイプがあり、終身年金や10年確定年金など、どのような形態で受け取りたいのかなど、好みにあわせて口数を調整することができます。その組み合わせに応じた年金額が受け取れます。上乗せの年金額があらかじめ分かるため安心です。
一方、iDeCoの場合は自分自身で一定の投資信託などの中から運用商品を選ぶため、運用成果次第で年金額が増減します。投資の知識がある人は積極的にiDeCoを活用する方が向いているかもしれません。

3-2.「付加年金」とは?受給額はどう変わる?
付加年金も国民年金基金同様、第1号被保険者が年金受給額を増やすため、上乗せとして加入できる制度です。国民年金基金と付加年金どちらも加入することはできないため、どちらかを選ぶことになります。付加年金は、月額400円を国民年金保険料に上乗せして払います。年金受給額は200円×納付月数となります。

400円払ったのに200円?と思った方もいるかもしれません。具体例で説明しますね。
例えば、10年(120月)付加年金を払った場合、保険料総額は400円×120月=4万8000円となります。そして、1年間の受給額は200円×120月=2万4000円となり、この受給額が毎年上乗せされることになります。つまり、「2年で、もとをとる」ことができる制度です。長生きすればするほどおトクになります。

3-3.老後やいざというときの備えを自分で準備しよう
老後の年金についてみてきましたが、年金についてもう1つ重要なことがあります。それは、年金は老後受け取る年金だけではなく、障害年金や遺族年金という制度があることです。この制度を知らない人が意外と多いようです。

一定の障害者になった場合、あるいは障害を持って生まれてきた場合、仕事など制限されることも想定されます。そんな際に、障害年金が頼りになります。また、一家の主を失った時も同様です。その後の遺族の生活をサポートする位置づけで遺族年金があります。
こういった制度は、保険料を長期間滞納している場合など対象外となりますので、いざというときの備えとして、きちんと年金には加入しておきたいですね。

年金を増やす
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4)年金の切り替えと重複して支払いしてしまった場合の対処法

自営業者を中心とした第1号被保険者、会社員や公務員の第2号被保険者、そして「サラリーマンの妻」第3号被保険者。立場が変わった場合などは、切り替え手続きが必要になります。国民年金の窓口はお住まいの市区町村役場となるため、国民年金全般の手続きや相談や役場で対応してもらえます。

会社を辞めて自営業者となる場合やしばらく再就職先が決まらない場合なども、退職後14日以内に第2号から1号被保険者に切り替える手続きを役場で行ってください。その際、第3号の配偶者がいる場合も同様です。

第2号被保険者については基本、勤務先で手続きをすることが可能です。結婚をして配偶者ができた場合や正社員だった配偶者が専業主婦になった場合など、第3号被保険者切り替える場合も勤務先が対応してくれます。いずれにしても年金手帳が必要になりますので、年金手帳は大切に保管してください。

また、国民年金を前納するなどして重複して年金を支払った場合は、年金事務所から送られてくる「国民年金保険料還付請求書」に還付金の振込先の口座番号を記入して提出を。もし書類が届かないようなら、年金事務所に問い合わせてみましょう。なお、重複の照会から実際の振込までは数ヵ月かかることが多いようです。

5)いざというとき、そして一生お世話になる年金

「年金は老後だけのもの」と思っていた人も多いと思いますが、いざというときに助けてもらえますし、老後も一生涯の保障です。少しでも手厚い保障となるよう、今のうちからきちんと加入しておきましょう。
そして自営業者で保険料を払うことが厳しい場合は一定ルールの下、保険料を一部または全部免除してもらえる制度もあります。滞納することなく、事前に市町村役場で相談してください。

国民年金と厚生年金の違い まとめ

今回は第1号被保険者(自営業者)と第2号被保険者(会社員・公務員)第3号被保険者(専業主婦やパート)の受給額の違いも感じてもらえたと思います。2号の方が、年金の受給額が多く一見有利にみえます。ただし、1号被保険者は会社に属することなく、自分のスタイルで、自分のペースで大きく稼ぐことも可能です。そして何より、定年もありません。 また厚生年金と国民年金の違いのかほかに、それぞれの受給額はいくらなのか、年金を重複して支払いをしてしまった場合、切り替え方法、増やす方法までお伝えしてきました。

年金の支給額が少ないことを意識しながら、将来のキャリアプランをしっかり立ててください。そして、それと同時に国民年金基金など今回紹介した年金へ上乗せできる制度を一度検討してみてください。
※「標準報酬月額」等の専門用語は極力使わずまとめています。詳細は日本年金機構のホームページ等でご確認ください。https://www.nenkin.go.jp/

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