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厚生年金と国民年金、受給額はどのくらい違う?「重複払い」をした時は (2ページ目)

そなえる 内山 貴博

2-2.「厚生年金」の受給額はいくら?
では、上記学生納付特例制度を利用していたAさんが大学卒業後、自営業ではなく会社員として60歳まで勤務した場合の受給額はどうなるでしょうか?

基礎年金部分は同じ額となるため、約74万円です。それに加えて38年間の厚生年金が受給額に加わります。38年間の平均標準報酬額が40万円の場合、厚生年金の受給額は約100万円です。
よって、年間の受給額は174万円となり、自営業のケースより明らかに多いですね。

2-3.自営業と会社員では大きな違いが
会社員として厚生年金の上乗せがあることで、かなり受取る年金額に違いが生じますね。さらに厚生年金の場合、年金の家族手当ともいえる加給年金という制度があります。厚生年金に20年以上加入し、年金受給時点で65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合に一定額の年金額が上乗せされます。こういった制度も考慮すると、一段と会社員の方が充実していますね。

3)老後に備え「iDeCoや付加年金」もおすすめ、年金を増やす方法

フリーランスの男性
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自営業者にとっては、なんともうらやましい厚生年金制度。ただ、自営業の方も自ら工夫することで年金額を増やすことができます。その代表例が最近よく聞くようになったiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。それ以外にも、国民年金基金や付加年金といった老後受け取る年金額を増やす方法はまだまだあります。

月々の金額はわずかでも、将来の年金額にじりじりと影響を与えます。自営業の方はこういった制度への加入を積極的に検討してみてください。

3-1.「国民年金基金」とiDeCo(個人型確定拠出年金)どちらが良い?
自営業者が年金受給額を増やす制度の代表格が「国民年金基金」です。そして、同じく国民年金基金連合会が管理する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。2つ合わせて月額6万8000円まで加入することができます。

国民年金基金はA型・B型などさまざまなタイプがあり、終身年金や10年確定年金など、どのような形態で受け取りたいのかなど、好みにあわせて口数を調整することができます。その組み合わせに応じた年金額が受け取れます。上乗せの年金額があらかじめ分かるため安心です。
一方、iDeCoの場合は自分自身で一定の投資信託などの中から運用商品を選ぶため、運用成果次第で年金額が増減します。投資の知識がある人は積極的にiDeCoを活用する方が向いているかもしれません。

3-2.「付加年金」とは?受給額はどう変わる?
付加年金も国民年金基金同様、第1号被保険者が年金受給額を増やすため、上乗せとして加入できる制度です。国民年金基金と付加年金どちらも加入することはできないため、どちらかを選ぶことになります。付加年金は、月額400円を国民年金保険料に上乗せして払います。年金受給額は200円×納付月数となります。

400円払ったのに200円?と思った方もいるかもしれません。具体例で説明しますね。
例えば、10年(120月)付加年金を払った場合、保険料総額は400円×120月=4万8000円となります。そして、1年間の受給額は200円×120月=2万4000円となり、この受給額が毎年上乗せされることになります。つまり、「2年で、もとをとる」ことができる制度です。長生きすればするほどおトクになります。

3-3.老後やいざというときの備えを自分で準備しよう
老後の年金についてみてきましたが、年金についてもう1つ重要なことがあります。それは、年金は老後受け取る年金だけではなく、障害年金や遺族年金という制度があることです。この制度を知らない人が意外と多いようです。

一定の障害者になった場合、あるいは障害を持って生まれてきた場合、仕事など制限されることも想定されます。そんな際に、障害年金が頼りになります。また、一家の主を失った時も同様です。その後の遺族の生活をサポートする位置づけで遺族年金があります。
こういった制度は、保険料を長期間滞納している場合など対象外となりますので、いざというときの備えとして、きちんと年金には加入しておきたいですね。

年金を増やす
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4)年金の切り替えと重複して両方支払いしてしまった場合の対処法

自営業者を中心とした第1号被保険者、会社員や公務員の第2号被保険者、そして「サラリーマンの妻」第3号被保険者。立場が変わった場合などは、切り替え手続きが必要になります。国民年金の窓口はお住まいの市区町村役場となるため、国民年金全般の手続きや相談や役場で対応してもらえます。

会社を辞めて自営業者となる場合やしばらく再就職先が決まらない場合なども、退職後14日以内に第2号から1号被保険者に切り替える手続きを役場で行ってください。その際、第3号の配偶者がいる場合も同様です。

第2号被保険者については基本、勤務先で手続きをすることが可能です。結婚をして配偶者ができた場合や正社員だった配偶者が専業主婦になった場合など、第3号被保険者切り替える場合も勤務先が対応してくれます。いずれにしても年金手帳が必要になりますので、年金手帳は大切に保管してください。