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離婚後の養育費、もらうべき相場は?年収別・子供の数別解説 (2ページ目)

そなえる 内山 貴博

3-2. 裁判所が示す養育費の相場とは?

裁判所は「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」をテーマに司法研究を行い、その結果を公表しています。同時に、養育費の目安となる「標準算定表」を開示しています。
(参照http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

上記をもとに、母(権利者)の年収と父(義務者)の年収と子供の人数(年齢)別の養育費の目安を簡潔にまとめました。なお、子供は0歳~14歳とします。(数値等は概算)

<養育費の目安(月額)>
・子供が1人の場合
縦軸が父(義務者)の収入/横軸が母(権利者)の年収(それぞれ会社員)

・子供が2人の場合
縦軸が父(義務者)の収入/横軸が母(権利者)の年収(それぞれ会社員)

上の表のように、父親そして母親それぞれの経済力によって養育費が決まります。父親の収入が少ない場合、払いたくても払えないため0~2万円程度となります。父親の収入が増えれば養育費も増えますが、逆に母親の収入が増えるにつれて、養育費は減額となります。両親2人で子供の養育費を担うこととなるため、「母親にある程度収入がある」という状況を鑑み、父親が払う養育費が減額されることになります。

前出の厚生労働省の調査によると母子世帯で子供が1人の場合の養育費平均は3万5438円、子供が2人の場合は5万0331円となっていますので、上記表と大きく乖離していないようです。

このような仕組みを踏まえ、母親側としては「父親がしっかり働き、自分の年収が少ない時に養育費が高額になる」ということが容易に分かります。父親側から見ると、「お前(元妻)も働けるのだから、しっかり稼いで子供の養育費に協力しろよ」という主張をしたくなります。

こうなると話し合いで養育費を決める、または金額を見直すことは難しくなり、場合によっては裁判などに展開することも想定されます。離婚に詳しい弁護士によりますと、この場合、母親の年齢や学歴などから「どれだけ働くことが可能か?」ということなどを考慮するということです。

つまり、一定の学力があり、年齢も若いとなれば働く機会も多いとみなされ、収入がない、または少ない状況は、母親があえて働いていないのでは?とみなすこともあるようです。怠惰で働きたくないということを指摘され、養育費が減らされるかもしれません。つまり損得ではなく、それぞれが親として子供のために働けるのであれば働くという考え方をしっかり持ち、それを前提に養育費を決める必要があるのです。

なお、自営業の場合は給与所得者に比べると収入という概念がやや難しい場合があります。相手に分からないように収入を調整する、または隠すというケースもあるため、どちらかが自営業者の場合は弁護士など専門家に相談した方がよさそうです。

次は、厳しい養育費の現状について見ていきましょう。