離婚後の養育費、もらうべき相場は?年収別・子供の数別解説
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今回のテーマは離婚後の養育費です。昨今は離婚という選択は決してネガティブではなく、新しい人生を歩むためにポジティブな選択ができたという人も増えています。
とはいえ、離婚後の子育ては経済的に大きな負担となり、特にシングルマザーの貧困率は5割を超えているという調査結果もあります(厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査結果報」平成28年)。
養育費途絶えパート月収12万で子供2人/30代シングルマザーの家計簿診断
貧困世帯は十分な教育を受けさせることができず、その子供もまた貧困に苦しみ、「教育格差」が社会問題として深刻化しています。離婚後も子供にしっかりとした教育を受けさせ、立派な社会人として育て上げていくために養育費についての知識を得ておくことはとても大切です。養育費の基本から現状、そして、年収や子供の数別の養育費の相場などを1つ1つ紹介していきます。
1. 養育費の支払いは子供を扶養する親の義務
そもそも養育費とはどういう位置づけでしょうか。
「離婚後、妻が子供の親権者に」という話はよく聞きます。この場合、母親と子供が一緒に生活し、父親は別生活を送ることになります。ではこの場合、父親は子供に対して何もしないということになるのでしょうか?
子供からすれば、両親が離婚してもどちらも親であることに変わりはありません。そして親には子供を扶養する義務があり、成人するまで親としての責任を果たさなければなりません。よって、親権者を持たない側(上の場合、父親)は養育費というかたちで、その責任を果たすわけです。
つまり、子供が成長する上で必要な費用を負担するのが養育費の考え方です。もちろん、親権者のある側(上の場合、母親)も養育費を負担することになりますので、それぞれの収入状況などさまざまな要因が養育費を決める上で絡んできます。
以下、夫婦が離婚し、妻が親権者となり子供と生活、夫は別生活で養育費を支払うことを前提に解説をしていきます。この場合、妻が養育費をもらう権利があるため、「権利者」といい、夫は養育費を支払う必要があるため「義務者」ということもあります。
2. 養育費に含まれるものは生活費・教育費・医療費
養育費は子供が成長する上で必要なお金であるため、以下のようなものが中心となります。
・子供の食費など生活費全般。衣類や住居費なども対象に
・子供が社会人になるための教育費。授業料や塾、部活動の費用など
・子供の医療費など
養育費は夫から妻へ一括または分割で支払われることになります。そして、養育費の性質からすれば「子供のため」ということが大前提となるため、親権者である妻の生活費などは含まれません。
3. 年収別・子供の人数別の養育費の相場
養育費の金額は親の生活水準がベースとなります。仮に離婚していなかったと想定してみてください。それほど収入が多くない世帯が頻繁に海外旅行に行き、塾を掛け持ちし、家庭教師をつけるというのは現実的ではないですよね。もちろん、その逆で収入が多い場合は、それなりの生活レベル・教育レベルが想定されます。よって、養育費も離婚したとはいえ、双方の親の収入がベースとなります。
原則夫婦の話し合いで決めることができるため、「必ずこの金額を払わなければならない」というルールや金額の相場があるわけではありません。
3-1. 養育費は「話し合い」で決めるの?
筆者自身も離婚後の養育費を確定するための資料作りを担ったことがあります。クライアントと弁護士さんの間に立ち、収支をシミュレーションし、それらを交渉の材料としてもらいましたが、そう一筋縄にいくものではありません。
話し合い(協議)で決まらない場合は、調停や審判、最終的には裁判という流れになります。そのため、裁判所が養育費の相場に関して、どのような見解を示しているかということが重要になります。
では、裁判所が示す養育費の相場とはどうやって決まるのでしょう。