無痛分娩費用は保険適用外?高額療養費や医療費控除は適用できる? (2ページ目)
目次
無痛分娩は確定申告で医療費控除できる
所得税・住民税の負担を軽減してくれる所得控除の1つが「医療費控除」です。保険の対象にならない出産費用は医療費控除の対象外と思っている人が多いのですが、一連の出産費用は医療費控除の対象となります。
もちろん無痛分娩で出産費用が上乗せされた分も含めて、医療費控除の対象となります。ただし、無痛分娩に関して事前に受講したセミナーや講座代は医療費控除の対象とはなりませんので、その点注意してください。
医療費控除は以下の計算式で控除額を算出します。
支払った医療費の額-保険金等で補てんされた金額-総所得金額等の合計額×5% or 10万円(いずれか低いほうの金額) |
よって、出産一時金や保険が給付された場合は差し引く必要があります。
妊娠が分かってから出産まで一定期間要しますので、出産に関わる一連の費用に関して、レシート・領収書をしっかりと取っておきましょう。急いで病院に行く必要があり、タクシーを利用した場合の料金も医療費控除と認められる場合があります。対象になるかどうか分からないものも含めて、全て保管しておくのが良いと思われます。
出産にかかる費用と手当・給付金のおさらい
ここまで見てきましたが、無痛分娩は自然分娩と比べやや出産費用が高くなることが想定されますが、保険や税金など取扱いは自然分娩と同様です。
そこで、出産にかかる費用や手当などを一通り確認したいと思います。
〇子供が生まれる時の費用として「出産一時金」
待ちに待った赤ちゃんの誕生!その出産費用として、会社員等の場合は健康保険から、自営業の場合は国民健康保険から「出産一時金」をもらうことができます。現在は原則42万円。病院によって異なりますが、出産のために入院し、お母さんと赤ちゃんが一緒に退院するまで1週間程度で、出産費用と入院費用を合わせると50万円ほどかかります。この場合は差額の8万円を負担することになります。
なお、都道府県で出産費用には差があり、東京都が一番高く、平均で60万円。一方、鳥取県や熊本県の平均値は一時金の42万円を下回っています。「里帰り出産をするかどうか?」という判断材料の1つにもなりそうですね。
h28nendo_syussan5.pdf (kokuho.or.jp)
妊娠4カ月以上の死産の場合も一時金は給付されますので、その点も覚えておいてください。
〇出産等で何日も働けなくなったら…お給料代わりとして「出産手当金」
出産の際はもちろん、病気やケガで働けなくなり、給与が支給されない場合は、「お給料の代わり」として「出産手当金」や「傷病手当金」がもらえます。
出産手当金は産前6週間、産後8週間が対象です。金額は標準報酬月額の3分の2、つまり、おおよそ1日あたりの給料の3分の2がもらえることになります。
なお、「お給料の代わり」という位置づけであるため、自営業者が加入している国民健康保険は原則対象外です。勤務や給料といった考え方がないためです。
時系列でまとめると以下のようになります。
※1(公費負担の調査結果)
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/H28kouhihutan_1.pdf
まとめ
○無痛分娩も自然分娩と保険や税金の仕組みは原則同じ
○医療費控除の対象となるので、出産関係の出費に関しては全て領収書やレシートを保管
○無痛分娩のメリットやデメリットを正しく理解した上で判断を
今回は無痛分娩のお金や、出産に関するお金に関する情報をまとめました。結婚や出産を控えている人にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
やや余談になりますが、お金を取り巻く環境は現在、iDeCo(イデコ)やNISAなど税制優遇措置を受けながらの資産運用が注目されていますが、いずれも欧米が導入していた制度を参考に日本が取り入れたという経緯があります。預貯金重視の日本人の資産運用にも少しずつ変化が見え始めてきています。食文化もファッションも欧米諸国の影響を受けているものも少なくありません。もしかすると出産方法も将来的に欧米の影響を受け、無痛分娩を選ぶ人が増えるかもしれませんね。
経済的な負担のみならず、医療的なメリット・デメリットなどを前もって調べておくと良さそうです。
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無痛分娩に関するQ&A
Q.出産した際の医療費は退院時にまとめて払わなければなりませんか?
A.以前は一時的に全額立て替える必要があり、その後に出産一時金がもらえるという時もありましたが、若い人にとっては一時的とはいえ、全額立て替えるのは負担になります。そこで、今は原則、健康保険から病院へ直接出産一時金が支払われるため、差額分を負担すればよいことになります。
Q.帝王切開での出産の場合、医療保険の給付金の対象になるようですが、妊娠後に医療保険に加入することはできますか?
A.保険会社次第です。多くの保険会社が妊娠後一定周期までであれば加入できます。ただし、保険会社によっては帝王切開をはじめとした異常分娩などを不担保(保障の対象外)とする場合もあるため、その点注意してください。