夫婦でパパが育休取って給与減でも、意外と家計が大丈夫な理由 (2ページ目)
目次
実は男性の育休取得はメリットが多い
女性の育休だけでなく、男性の育休も貴重なものです。
赤ちゃんから幼児へと成長し少し会話ができるようになった時のこと、パパが、休日に子供と遊んでいると「パパ、今度いつくるの?」「また来てね!」なんて笑い話はよく耳にします。これは早朝に出勤し子供が寝てから帰るパパに起こりがちです。笑い話ではありますが、やはり少し寂しい気持ちにもなります。(笑)
育休は乳児期に取るものですから、赤ちゃん自身は覚えていないでしょうけど、世話をしながらわが子と触れ合う時を刻むことは、パパにとって大きなメリットといえるのではないでしょうか。
育休による収入減の不安もあると思いますが、給付金や税金等の取り扱いも女性と同様なので、国からの一定のサポートはあります。
夫が育休を取得すると以下のような恩恵が受けられます。
① 雇用保険から「育児休業給付金」が受け取れる
② 給付金は非課税扱い
➂ 厚生年金や健康保険などの社会保険料が免除される
また、両親が協力して育休を取ることで「パパ・ママ育休プラス」や「パパ休暇」という制度を利用できるようにもなります。これは、パパが2回に分けて育休を取ることができたり、赤ちゃんが1歳2カ月になるまで育休が延長されたりします。
詳しく見ていきましょう。
〇パパ・ママ育休プラス
「パパ・ママ育休プラス」とは、2010年に始まった制度で、男性の育休促進を目的としたものです。この制度は、パパとママ両方が育休を取得する場合に受けられます。通常、育休は赤ちゃんが1歳になるまでしか取得できませんが、要件を満たすと最長1歳2カ月まで育休を延長することができるようになります。
要件
① 配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
② 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
② 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
出所)厚生労働省HPより抜粋
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf
〇パパ休暇
通常、育休は1回しか取得できません。ただ、パパ休暇という特例では、ママの出産後8週間以内の期間内にパパも育休を取得した場合は、再び育休を取得できるようになっています。この制度を使うことによってパパが2度に分けて休みを取れるのです。
例えば、
産後退院して自宅での生活が始まる時にパパが育休を取り、ママをサポートすることができます。産後の不安な時にママにとっては大変心強いものです。初めての赤ちゃんはもちろん、第2子以降だと、赤ちゃんの世話をしながら長子の面倒を見るのはなかなか大変です。パパが共に育児をすることで、ママは心にゆとりを持てますね。
また、長子にとっても同様です。これまで自分だけに注がれていた関心が、赤ちゃんにも向いてしまうということに不安を感じ、赤ちゃん返りをしてしまうのはよくあることです。ママだけでなく、パパの手、パパの目があることは絶大です。
出所)厚生労働省HPより抜粋
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf
夫婦で育休を取った時の家計をシミュレーション
〇男性が育休を取った場合の収入をシミュレーション
男性が育休を取らない理由のひとつに、収入が減るという不安があります。
それでは、実際に男性が8カ月間育休を取得したケースで、どのくらい収入が変わるのかシミュレーションをしてみましょう。
<Aさん夫婦育休前の給料>
ママ:28万円(手取り21.6万円)
パパ:35万円(手取り27.0万円)
のケースでは次のようになります。
図のように手取り収入を世帯で見た場合、育休前と後で最も減額された月は手取りが約77%となる期間が4カ月あります。それ以外の月は、これまでの手取りの80%~95%弱受け取れるようです。多い少ない感じ方はそれぞれですが、恐らく想像しているよりは多くもらえると思ったのではないでしょうか。
これは、税金や社会保険料の負担が生じないことからです。収入が減るから育休は取らない・・・と、検討すること自体を遠ざけている夫婦は今一度話し合ってみるのも良いのではないでしょうか。この時しか味わえない貴重な時間を夫婦で共有できることは大きな財産になることでしょう。
シミュレーションは、あくまで一例です。実際は、育休を取る人の収入等の状況、夫婦の育休のタイミングによっても異なります。詳しく知りたい方は、職場の総務係や社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーなどに相談すると良いでしょう。
まとめ
今回は、男性が育休を取ることに対する社会背景、手当や給付金、メリットやデメリットなどについて見てきました。
そのうち男性が育休を取った場合の給付金などのメリットを簡単にまとめると
・ 雇用保険から「育児休業給付金」が受け取れる
・受け取った給付金は非課税扱いになる
・厚生年金や健康保険などの社会保険料も免除される
そのため、世帯の手取り収入は、これまでの2割前後の減額で済みそうであること。
また、
・「パパ・ママ育休プラス」が利用できるため育児休暇が1歳2カ月に延長される
・「パパ休暇」の特例を使うと、パパは2回育休を取得できる
ということです。
国は、少子化の流れに歯止めをかけるため、女性の活躍社会を目指した多くの取り組みをしています。その一環として“育てる男が家族を変える、社会が動く”というスローガンで「イクメンプロジェクト」という働きかけも行われ、意識を高めていく活動が推進されています。皆の心の変化が、男性の育休が当たり前になる環境を整えていくのでしょうね。
育休と給与についてのQ&A
Q:有期雇用でも育児休暇を取得し給付をうけることができますか?
A:育児休業を取得するには、育児休業前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが必要ですが、それを満たしたうえで、有期雇用の場合は、育児休業開始時に、同一事業主のもとで既に1年以上継続して雇用されていること、かつ、子が1歳6か月までの間に労働契約が満了し更新されないことが決まっていないのなら育児休暇を取得でき、育児休業給付金も受け取れます。
Q:産休・育休中の住民税ってどうなるんですか?
A:住民税は、前年分の収入をもとに支払うため育児休暇中でも支払う必要があります。ただし、育児休暇中に受け取る給付金は非課税のため翌年はその分の住民税の負担はありません。