車のサブスクと購入、どっちが得?支払総額を比較してみた
毎月決まった料金を支払いサービスや製品を利用することができるサブスクリプションサービス(以下、サブスクと略します)が若者を中心に広がっています。代表的なサブスクには、アマゾンプライムやネットフリックスなど定額制の音楽配信や映像配信サービスがあります。利用されている方も多いのではないでしょうか。
また、物を所有するのではなく、必要な期間だけ借りて使用するサブスクとして、家電製品や美容用品、ブランドバッグや洋服などを所有せず必要な時だけ利用するというサブスクもあります。
サブスク市場は年々増加傾向にあり、2019年度は6,828億円でしたが、2020年度には8,759億円と3割弱も上昇しています。またこの市場規模は2022年度には1兆円を超えると予想されています。
※株式会社矢野経済研究所調べ
このサブスク、実は車でも利用者が広がっています。そこで今回は車のサブスクは購入して所有した場合よりもお得なのかどうかを比較してみたいと思います。
車のサブスク市場現状
車のサブスクは、自動車メーカーのトヨタが提供している「KINTO」、日産が提供している「ClichMobi」、ホンダが提供している「HONDAマンスリーオーナー」などがあります。また中古車買い取り販売のガリバーが提供している「NOREL」や「定額カルモくん」などもあり、サブスク市場に算入する企業が相次いでいます。
車のサブスク市場の規模はまだまだ小さく2019年度は20億円程度でしたが、2025年度には500億円にまで成長し今の25倍まで上昇すると言われています。
※日本能率協会総合研究所調べ
サブスクとカーリースは何が違うのか
毎月定額料金を支払って車を利用する方法として、サブスク以外にもカーリースという乗り方があります。カーリースとはサブスクと同様に毎月決まった金額を支払い、契約期間が終了すると乗っていた車は返却することになります。契約期間中の自動車税や車検代といった維持費の負担は毎月の定額料金に含まれているので、購入するよりも月々の支払いを平準化できることがメリットです。
ではこのカーリースとサブスクの違いはどこにあるのでしょうか。頭金や初期費用が不要でまとまったお金がなくてもすぐに乗り始めることができるという点ではほとんど同じといえます。
サブスクが定額料金を支払い契約期間中はそのサービスを利用できる仕組みであることに対して、カーリースはリース会社が購入した車を利用者が月々定額料金を支払い、車を借りているという仕組みになります。
またサブスクやカーリースには、契約者の審査があります。過去に自己破産やローン返済の遅延がないかなどの信用情報の他、年収、職業、勤続年数などを偽りなく申告しなければいけません。
リース会社や信販会社が行うカーリースの審査よりディーラー系のサブスクの方は審査が甘いといわれていますが、審査基準が各社異なるので誰でも審査が通るということはありません。
サブスクと購入、どっちがお得?比較してみた
ではサブスクと購入、どちらがお得なのか比較してみましょう。
料金比較
トヨタのアクア(1500cc、2WD、5人乗り)を5年間サブスクで利用した場合と、銀行で頭金無しの全額オートローンを組んだ場合で比較してみます。(年齢条件:21歳以上)
※サブスクはKINTOを利用した場合
※ローン購入の前提条件:元利均等60回払い、年利5.0%
※KINTOのWebサイトにてシミュレーション
上記のように金額だけで比較するとサブスクの方が有利となります。しかしサブスクの場合、契約期間が終了すると車を返却しなければいけません。一方、ローン購入の場合は6年目以降も乗り続けることができます。また支払総額の差が約36万円ありますが、5年経過後36万円以上で売却することができればローン購入の方が金額面で有利ともいえます。
それぞれのメリット、デメリットは
購入する場合と比べて毎年の保険料や税金、3年目の車検代など、別途費用を準備しなくて済むという点ではサブスクの方がメリットは大きいようです。
さらに、5年経過後はまた新しいサブスクを契約することで新しい車に乗り換えることができます。
しかしサブスクの場合、契約期間終了後は車を返却しなければいけないので、自分の好きなようにドレスアップしたり、改造することはできません。契約終了後買い取ることもできますが、その場合は上記比較表の差額36万円以上の買取価格になるとローン購入の方が有利だったという場合もあります。
またサブスクを中途解約したい場合は別途解約手数料が必要となりますので、この辺りはサブスクのデメリットといえるでしょう。
一方、ローン購入のメリットは自分の好きなようにドレスアップしたり、改造できるので原状回復を気にしなくて良い点です。また自分の車なので小さな傷や凹みを気にすることもありません。走行距離に制限がないのもメリットといえるでしょう。
ローン購入のデメリットは、毎月の支払いとは別に自動車税や自動車保険の保険料を別途準備しないといけないことでしょう。ある程度まとまった金額なので、家計費のやりくりで積み立てをしておく必要があります。
サブスク、購入それぞれに向いているタイプは?
ではどのようなタイプの人がサブスクに向いているのでしょうか。
車のサブスクのメリットは前述したように気軽に乗り換えることができること。頻繁に新しい車に乗り換えたい人はサブスクが向いています。中古車のサブスクもありますので、新車に拘らないのであれば低額で色んな車種に乗り換えることもできます。サブスクは、どちらかというと車好きに向いているサービスといえるでしょう。
一度購入した車は大切に長く乗りたいという人は、絶対購入するべきです。10年間同じ車に乗り続けている人も少なくありません。大切に乗れば日本車は故障することが少ないので、そんな方には購入が向いています。
まとめ
サブスクと購入、一概にどちらがお得とは言えませんが、月々の支払いを平準化できる点では断然サブスクがお得です。所有に拘らないのであれば、この新しい車の乗り方、サブスクをおすすめします。
実際に利用する場合は、車種や契約期間によって支払総額が大きく変わることがあるので、良く比較検討してください。特に子育て中やこれからマイホームを計画している人は、家計の支出を減らすためにも支払総額のシミュレーションはしておいたほうが良いでしょう。
子供の成長に合わせて、まだ小さい時期はコンパクトカー、大きくなってきたらワンボックスカー、子供が独立したら夫婦二人でセダン、老後は趣味も兼ねてスポーツカー、なんていう乗り換え方も車好きの人には夢があっていいですね。