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正社員と契約社員の違いって?仕事を決める前に知るべきこと (2ページ目)

ためる 中村 賢司

正社員と契約社員の賃金の違い・生涯年収の違い

賃金の違い
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正社員と契約社員の賃金格差は、2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」「労働者派遣法」が改正され、「同一労働同一賃金」が適用されるようになりました。

これは契約社員や派遣社員、パート等で働く非正規社員と正社員の待遇や賃金の格差をなくすために改正された法律です。

今まで正社員と、契約社員などの非正規社員の賃金格差が問題となっていました。厚生労働省の調べによると、正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金を比較したところ、契約社員などの非正規社員の賃金は正社員に比べると約3~4割少ない傾向にあります。

年齢階級別賃金【男女合計平均】

年齢階級別賃金【男性平均】

年齢階級別賃金【女性平均】

※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」雇用形態、性、年齢階級別賃金及び雇用形態間賃金格差より

この調査は毎年公表されており、2020年の調査結果より雇用形態間の賃金格差は約2%(男性は3%)改善されています。しかし下記グラフから分かるように年齢が上昇すると共に正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金格差は大きくなっています。

さらに正社員と契約社員の生涯年収を比較してみましょう。

東京都産業労働局が調査した「契約社員に関する実態調査(令和元年度)」(※1)によると契約社員の平均年収は平均301万円(男性328万円、女性271万円)でした。一方、国税庁が調査した「令和元年分 民間給与実態統計調査」(※2)の正社員の平均年収は436万円(男性540万円、女性296万円)です。

仮に、このそれぞれの平均年収を大学卒業後23歳から60歳までの38年間もらい続けた場合、正社員は男女平均で1億6568万円(男性2億520万円、女性1億1248万円)、契約社員は男女平均で1億1438万円(男性1億2464万円、女性1億298万円)とその差は5000万円ほどあります。(男性の差は約8000万円、女性の差は約1000万円)

これに定年退職金を加味するとさらに開きが大きくなるでしょう。

(※1)東京都産業労働局「契約社員に関する実態調査(令和元年度)」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jouken/r1/
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jiccho_r1_3shou.pdf

(※2)国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2019.htm

仕事を決める際に確認しておきたい項目

契約社員として仕事を決める際、まず始めに確認しておきたいのが雇用期間満了後の契約更新があるかないかです。契約期間しか働きたくない場合を除き、継続して雇用してもらいたい場合は契約を更新できるかどうかが重要なポイントです。入社を決める前の面接時には必ず確認しておきましょう。

また、正社員へ登用されることがあるのか、5年ルールを適用して無期雇用へ転換できるか(雇止めなどないか)、正社員登用後の給与や勤務時間などの待遇、退職金制度の有無、正社員と契約社員の違いで与えられる仕事の内容が違うのか、などもできれば仕事を決める前に明確にしておきましょう。

まとめ

働く女性たち
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今回は正社員と契約社員の違いについて解説しました。特に以下の点について理解を深めていただければと思います。

企業はさまざまな雇用形態で労働力を確保しようとします。同一労働同一賃金がスタートして正社員と契約社員等の非正規社員の賃金格差を無くすよう法整備されましたが、企業としては少しでも低い賃金で労働力を確保したい、繁忙期だけ労働力を確保したいというのが本音でしょう。

正社員と契約社員の賃金格差は年齢と共に大きく乖離していきますが、正社員はもらえる給与が多い分、出世と共に責任も重くなります。仕事をする上で働きがいも大切ですが、仕事のプレッシャーを極力避けたい人や家族と過ごす時間を多く確保したい場合などは契約社員として働くことも選択のひとつです。

さまざまな働き方がありますが、あなたが一番大切にしたいものを優先して、正社員か契約社員か、自分に合った働き方を見つけてください。

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正社員・契約社員についてのQ&A

Q.正社員として働くのではなく、契約社員や派遣社員・パートといった雇用形態で働きたいと考えています。この場合社会保険には加入できるのでしょうか。

A.社会保険への加入可否で一番気になるのが健康保険ではないでしょうか。契約社員、派遣社員、パートで働く場合も社会保険の加入要件を満たしていれば社会保険に加入でき、会社と折半で社会保険料を支払います。もちろん保険証ももらえますので、病院にかかっても窓口負担は3割で済みます。

Q.契約社員として入社する際、会社に確認しておいた方が良いことなどはありますか。

A.契約社員で入社した後、正社員と仕事の内容や給与などの待遇面で違いはあるのか、また契約満了後に契約の更新があるのかなどは入社前の面接時に必ず確認しておきましょう。

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