新たな応援の形。南葛SC採用のクラブトークンが今注目されるワケ
監修・ライター
「南葛SC」というサッカークラブをご存じでしょうか?30代以上の方の中には、「キャプテン翼のチームでしょ?」と、世界的な人気を誇る伝説的なサッカー漫画「キャプテン翼」を連想する方も多いと思います。主人公・大空翼が小学生時代に所属していたチームが南葛SCですが、このチーム、現実にも存在します。
現実の南葛SCは、東京都葛飾区をホームタウンに活動しているサッカークラブで、今季から関東サッカーリーグ一部に昇格します。オーナーはなんと、キャプテン翼の作者・高橋陽一氏です。南葛SCはそのチーム名やオーナーもさることながら、あることから今高い注目を浴びています。南葛SCは今期から、選手への報酬の支払いの一部をクラブトークンで支払うというのです。
クラブトークンとは?
「クラブトークン」は、スポーツチームが発行するトークン(ブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産など)のことで、一般的には購入すると、チーム運営などに関わる投票などができます。スポーツチームのファンが購入することを前提としたトークンであることから、「ファントークン」とも呼ばれています。
南葛SCが発行するクラブトークンは、保有するとクラブ発の投票企画への参加や、トークン保有者限定の特典への応募などが可能です。1月27日時点での1トークンの価格は29.6691円。在庫は16万9000トークンなので、もし今の価格で在庫がすべて売りきれれば、それだけで南葛SCは500万円以上の収入が得られます。
南葛SCは、今期から選手の報酬の一部をクラブトークンで支払うといいます。南葛SCには元日本代表の稲本潤一選手や今野泰幸選手が加入したことが発表されていますが、彼らの報酬の一部はクラブトークンで支払われるそうです。
選手が現金を得るには、クラブトークンを売却するというひと手間が加わりますが、クラブトークンは暗号資産のため、需要に応じて価格が上下します。価格上昇のときに売却すれば、選手は想定していた以上の収入を得られる可能性もあるでしょう。
クラブトークンが注目される理由
サッカークラブをはじめ、あらゆるプロスポーツチームは、試合を行うことによって、収入を得ています。試合を行うことで、チームは観客の入場料収入が得られますし、グッズの販売収益も得られます。試合をテレビなどで放映すれば、放映権収入も得られます。
裏を返せば、試合が行われなければプロスポーツチームは収入を得ることはできないということでもあります。もちろん、プロスポーツチームにはスポンサー収入もありますが、スポンサー収入は一般の会社における資本金のような性格のものです。試合を行うことで運転資金を得られなければ、資金はショートしてしまいます。一般の会社であれば、倒産の危機に陥ってしまうところです。
Jリーグは毎年、全チームの経営情報を開示していますが、2020年度は34クラブが赤字、10ものクラブが債務超過に陥っています。プロ野球も同様で、決算公告を開示した10球団のうち7球団が赤字転換。ソフトバンクホークスに至っては、2020年度だけで75億2000万円もの巨額赤字を抱えてしまいました。新型コロナウイルスの影響により、試合の中止や無観客試合が相次いだことが理由です。
試合のない日、あるいは無観客試合を行わなければならない状況にあって、どうやって稼いでいくかは、プロスポーツチームにとっての「永遠の課題」と言っても良いものでした。それが、コロナ禍によって「いつか解決したい課題」から「今すぐに解決しなければならない課題」になってしまったわけです。
そんな中、注目を集めているのがクラブトークンです。クラブトークンは、24時間365日、クラブの公式ホームページなどで購入できます。もちろん、試合があろうがなかろうが購入できます。スポーツチームは試合のない日だけでなく、無観客試合になったとしても、一定の収入が期待できるわけです。
FCバルセロナは2時間で1億4000万円を売り上げる
クラブトークンは、日本ではまだ珍しいものですが、海外では一般的になってきています。2020年6月には、スペインのサッカークラブ「FCバルセロナ」がクラブトークンを初めて発売。発売からわずか2時間ほどで130万ドル(約1億4000万円)を売り上げました。この売り上げはすべて、クラブの収益になります。
スポーツチームの熱心なファンの中には、試合に行ったり、グッズを購入したりする以外にもチームを支援したいと思っている方も多いのではないでしょうか。クラブトークンは、購入するだけでチームを直接的に支援できます。さらに、暗号資産ですので、将来的に価格が大きく上昇する可能性もあります。あなたの応援するスポーツチームがクラブトークンを発行した際には、購入を検討してみてはいかがでしょうか。