固定資産税が高くなる!?どういう計算?少しでも安くする方法は
目次
マイホームを購入するときには、住宅ローンの支払いはもちろんのこと、それ以外に掛かるコストとして「固定資産税」のことも知っておく必要があります。固定資産税は、家や土地などの不動産に課税される税金。今回は、固定資産税の計算方法と優遇税制、支払いの時期について確認していきましょう。
固定資産税についておさらい
固定資産税とは、1月1日時点に所有している土地や建物などの固定資産を持っている人に毎年掛かる地方税です。固定資産税は、宅地、田畑、山林、牧場、原野などすべての土地が対象となり、その種類によって税の計算が異なります。建物の場合も、住宅、店舗、工場、倉庫などさまざまで、土地も建物もその種類によって税の計算が異なります。今回はマイホーム、つまり居住用の土地と住宅の固定資産税についてみていきます。
2022年度税制改正で固定資産税が増える?
2022年度は、固定資産税の負担が増える可能性があります。というのも、固定資産税の計算のもととなる固定資産評価額は3年ごとに見直されるようになっているためです。
実は、本来見直しのタイミングは昨年でした。しかし新型コロナウイルス感染拡大による生活不安が高まる中、この3年で地価が上昇している地域が多くあることから、特例として評価を据え置いたという経緯があります。それが22年度に再開されるというわけです。
評価額が見直され大幅に増加すれば、その分負担も大きく増えてしまうのでは、と思われる方もいるでしょう。しかし上昇幅は前年の5%までとされているため、どんなに大きく増加しても、負担は一定の範囲に収まるようになっています。また今回、上限5%が適用されるのは住宅地のみです。商業地は半分の2.5%が上限とされており、コロナ禍に影響を強く受けた地域に対しては軽減措置が取られています。
固定資産税はいくらかかる?計算する方法
それでは、固定資産税はどのように計算されるでしょうか。
大まかにいうと
「評価額×標準税率1.4%」
というように土地や建物の評価に1.4%を乗じます。
標準税率とは、固定資産税の税率として国が定めた目安で、大半の市区町村がこの1.4%としています。
少し複雑なのが評価額です。実際に売買される価格とは違い、また、土地と建物でも評価方法が異なります。ひとつずつ見ていきましょう。
土地の固定資産税評価額
最初に土地の評価額です。
大まかに知る方法として、国土交通省が一般的な土地取引の指標とする「公示価格」が頼りになります。固定資産税を計算する場合の評価はその約7割です。公示価格とは、都市計画区域内の標準的な土地がいくつか選定され、毎年1月1日時点の1㎡当たりの価格を算出し公表されます。毎年3月に公表され、新聞などでも確認できますので、自身が知りたい地域の公示価格を参考にしてください。
より具体的に知りたい場合は「固定資産税路線価」が必要です。固定資産税路線価とは公示地価と同様に1㎡あたりの土地の評価ですが、土地が面している道路にそれぞれ評価が記されているためより具体的な評価を知ることができます。
この固定資産税路線価は、公的土地評価情報のサイト「全国地価マップ」で確認できます。土地の評価は1㎡あたりの評価額×敷地面積で計算します。
つまり、土地の固定資産税は以下のようになります。
(例1)土地A
・固定資産税路線価 10万円/㎡
・敷地面積 180㎡
○土地の評価
(固定資産税路線価10万円/㎡)×(敷地面積180㎡)=1800万円
○固定資産税
(課税標準額1800万円)×1.4%=25.2万円
実際は、きれいな正方形の土地や角地、細長い土地、崖に面した土地、いびつな土地などそれぞれ形状が異なりますので、その分は補正率をかけて評価が調整されることになります。個別要因となるため専門家でなければ分かりません。自身で土地の評価を計算する場合は、まず上記のように大まかにとらえるとよいでしょう。
建物の固定資産税評価額
次に建物の評価額です。
建物は、同等のものを再度建築する場合の価格「再建築価格」が基準になります。建物は古くなり劣化しますから、その調整として「経年減点補正率」を掛けて評価します。
再建築価格は、その建物を建てるときの工事請負金額のおおよそ5~6割が目安です。
また、経年減点補正率は、木造とそれ以外(鉄筋コンクリートなど強固なもの)に分けられます。下限は0.2(2割)となっているため、古い建物でも固定資産評価額がゼロになることはありません。木造(例えば戸建て)の場合は27年以上経つと、それ以外の建物(例えばマンション)は45年以上経つと下限0.2となります。マンションの方が長持ちするため評価も緩やかに減価されるというわけです。
建物の評価額)=再建築価格×経年減点補正率(下限0.2)
(参考)京都地方法務局 経年減点補正率表(令和3年4月1日~)
上記を踏まえると、建物の固定資産税は以下のように計算されます。
(例2)建物B(戸建て、築10年)
・再建築価格 1000万円
・経年減点補正率 0.5
○建物の評価
(再建築価格1000万円)×(経年減価補正率0.5)=500万円
○固定資産税
(課税標準額500万円)×1.4%=7万円
さらに、マイホームの場合は、居住用の土地・建物として軽減措置がありますので実際の税負担はもっと軽くなります。
以下で、新築や中古のマンションや戸建てを取得した場合についてみていきましょう。
土地と建物(新築・中古)の各税金について
新築一戸建ての場合の税金は
まず、土地についてです。住宅のための土地には優遇税制があり、200㎡までは「小規模住宅用地」として評価額を6分の1に軽減することができます。また200㎡を超える場合でも、超えた分は「一般住宅用地」として3分の1に軽減されます。
つまり、新築一戸建ての土地の税金は、次のようになります。
(例3)土地C
・固定資産税路線価15万円/㎡
・敷地面積170㎡
○土地の評価
(固定資産税路線価15万円/㎡)×(敷地面積170㎡)×1/6=425万円
○固定資産税
(課税標準額425万円)×1.4%=5.95万円
次に、建物です。
戸建て(※)の新築住宅では、120㎡相当部分の固定資産税が1/2に減額されます。
一般住宅は当初3年間、認定長期優良住宅は当初5年間適用されるようになっています。
(※)床面積50㎡以上280㎡以下の戸建て
つまり、新築一戸建ての建物の税金は次のようになります。
※建物は120㎡以下とします。
(例4)建物D(戸建て、新築)
・再建築価格 1500万円
○固定資産税
再建築価格1500万円×1.4%=21万円
21万円×1/2=10.5万円
よって、固定資産税は、土地+建物で合計16.45万円ということになります。
中古戸建ての場合
次に、中古の戸建ての場合はどうなるでしょうか。
土地は新築の場合と同じで、200㎡まで1/6、超える部分は1/3です。
建物は、新築ではないため1/2が適用されませんが、経年減価補正率で評価が相応に減額されます。
(例5)土地E
・固定資産税路線価15万円/㎡
・敷地面積170㎡
○土地の評価
(固定資産税路線価15万円/㎡)×(敷地面積170㎡)×1/6=425万円
○固定資産税
(課税標準額425万円)×1.4%=5.95万円
次に、建物です。
(例6)建物F(戸建て、中古築15年)
・再建築価格 1500万円
・経年減価補正率 0.37
○建物の評価
(再建築価格1500万円)×(経年減価補正率0.37)=555万円
○固定資産税
555万円×1.4%=7.77万円
よって、固定資産税は、土地+建物で合計13.72万円ということになります。
新築マンション(優遇税制あり)/中古マンションの場合
マンションの場合も同じで、土地は200㎡まで6分の1、超えた部分は2分の1に軽減できます。なお、マンションの場合は、部屋の所有者全員で土地を使用する敷地に対する権利という意味で敷地権といいます。一般に部屋の床面積によって按分され、敷地全体の○分の○という風に権利が与えられます。つまり、土地の固定資産税もその割合で計算されることになります。
また建物も、新築マンション(※)の場合は120㎡相当部分の固定資産税が2分の1に減額され、戸建てと同じです。
しかし、一般住宅の場合で当初5年間、認定長期優良住宅の場合は当初7年間適用されるようになっており、戸建てより優遇期間が2年長くなっています。
(※)床面積50㎡以上280㎡以下の戸建て
中古マンションの建物も、戸建てと同様に経年減価補正率を掛けて計算します。