【手取り収入別】二人暮らし、理想の生活費割合は?賢い節約術も
目次
二人暮らしの生活費は、どのくらいが適切なのでしょうか。今回は、二人暮らしの生活費について、年代別の平均金額や、手取り収入別の理想の金額目安を解説します。節約のポイントやお金の管理についても見ていきましょう。
20~40代、年代別の生活費平均は?
総務省「家計調査年報 2021」で公表されている、2人以上の勤労世帯の消費支出を参考にします。2人以上となっていますが、平均世帯人数は、29歳以下で3.02人、30代は3.64人、40代では3.7人です。なおこれらは平均値のため、子供の有無や、賃貸か持ち家かによっても実際の金額は変わってきます。
〈2人以上の勤労世帯の消費支出〉
この調査では、29歳以下で約24万円、30代で約27万円、40代で約32万円と、年齢が上がるにつれて全体の支出は増え、特に「食費」や「教育費」に変化があることが分かります。食費は、29歳以下に比べ、40代は約2.8万円多くなっています。これは子供が大きくなって食費がかかるようになった家庭や、年齢を重ねて所得が増えたため、食生活が豊かになったという夫婦二人暮らしの家庭があると考えることができそうです。
一方、住居費は年代が上がるにつれて負担が減っています。これは、マイホームの取得が影響しているようです。同資料の別のデータには、29歳以下の持ち家比率は約34%なのに対し、30代は約65%、40代になると約78%へと多くの家庭が家を所有していることが分かります。また、生活費(消費支出)に含まれない「土地家屋借金返済」という項目では、29歳以下で2万3981円、30代で4万5275円、40代で4万6819円と、持ち家比率に比例して返済額も増えています。
なお、全世代(世帯主年齢56歳)での、二人暮らしの生活費も公表されているので見てみましょう。
〈二人暮らしの平均生活費〉
生活費総額は約28万円で、年齢別の支出と比べると「その他の消費支出」が高くなっています。内訳は、諸雑費、小遣い、交際費等とされており、2人以上世帯に比べ、二人暮らしの方が自由に使えるお金が多いことが読み取れます。
また、持ち家比率は約75%と高いものの、「土地家屋借金返済」は2万19円と、先程の2人以上世帯に比べ返済額が少なめです。これは、2人用の住宅を購入することにより価格が抑えられたり、子育ての資金がかからない分頭金を多く入れたりして、住宅ローンの返済額が少ないことが考えられます。
二人暮らしの生活費の理想割合は
より具体的に生活費のイメージを持つため、手取り収入別に理想的な生活費の割合を考えてみましょう。ここでは、統計値を使うのではなく、筆者が年間500件以上のライフプラン相談をお受けする中で、夫婦二人暮らしの生活費として現実的と思われるものを、理想的な生活費の割合としてお伝えすることにします。
〇手取り15万円のケース
まずは2人で安心して生活できるよう、お金の使い方をきめ細かく考えていくことが大切です。
住居費は地域によって差があるため一概に言えませんが、手取りの30%を超えない範囲に抑えたいところです。食費は工夫次第で4万円(27%)以下にすることもできますが、健康維持のため過度な節約はいけません。その他、光熱費や通信費、保険料や雑費(予備費)を引き、さらに貯蓄1万円を頑張るとすると、差額の1万円が小遣いになります。
可能なら資格取得などでキャリアアップを検討し、副業の模索、また、専業主婦家庭なら共働きをするかどうか考え、少しでも収入をプラスできると余裕が持てます。保険は負担が少ない掛け捨てタイプで最低限の保障は備えたいものです。
〇手取り20万円のケース
15万円のケースに比べて、住居費や食費、小遣い、貯蓄がそれぞれ1万円増えて、家計への負担割合は、住居費28%、食費25%と低くなっています。
何にお金をかけたいかは人それぞれなので正解はありませんが、全体として15万円のケースよりは少し余裕を持つことができます。ただ、貯蓄率は10%の2万円ですので、もう少し上乗せできたら安心です。
会社勤めなのか、自営業なのかによっても将来受け取る公的年金が違い、また、退職金が見込める勤め先なのかによっても今後の計画が変わります。夫婦の状況に合わせて貯蓄目標を決め、それらを合わせて支出割合を調整できないか検討すると良いでしょう。
〇手取り25万円のケース
一般に光熱費や通信費は収入に比例するものではないため、金額は前の表と同じです。大きく違うのは、小遣いを全体の16%である4万円に増やしている部分です。趣味やレジャー、習い事をするなど、資金使途が自由な予算を増やすことができます。
〇手取り30万円のケース
夫婦二人暮らしの方から、食べ歩きや外食など、グルメを夫婦の楽しみにしているという話をよく伺います。そのため、食費を少し高めに設定しています。外食を食費に入れるか小遣いから払うのかそれぞれですが、ここでは食費の割合を高めています。
何にお金を使いたいかによって、割合はいかようにも変えられます。一般的な数値も知っておきたいところですが、最終的には自分が幸せを感じるお金の使い方は何か、優先事項を知ることが大切です。
二人暮らし家計、どんな見直しができる?
筆者がこれまでに受けたFP相談を踏まえて家計見直しの事例を2つ紹介します。
事例1)共働きAさん夫婦 夫42歳 妻40歳
老後への備えや資産運用を考えたい共働き夫婦からの相談です。
40代を迎え老後のことが気になってきた共働きパワーカップルのAさん夫婦。子供をもうける予定はなく、このまま2人で暮らしていくことを希望しています。そんな中、同僚がやっているiDeCo(イデコ)を老後のために始めた方が良いのでは、と思うようになりFPに相談することにしました。
毎月40~45万円は使っているというAさん夫婦。貯蓄は月々5万円で賞与は全て使っています。貯蓄はまだ200万円しかありません。Aさん夫婦は、節税対策にもなるためiDeCoで2万円ずつの計4万円を積み立てたいと考えています。もちろん月5万円の貯蓄からiDeCoを始めることはできますが、心配なのはiDeCoに資金を回すと手元の貯蓄が月々1万円しかできないこと。iDeCoは60歳以降しか払い出せないため、今の貯蓄ペースでは必要な時に使える貯蓄は年12万円ずつしか増えません。
Aさん夫婦は漠然としたマイホーム取得の夢もあるため、頭金や新居での家具代などを考えると手元の資金に不安が残ります。そこで家計の見直しです。
Aさん夫婦はファッションに興味があり毎月8万円ほどお金を使っていました。また、音楽や動画配信のサブスクの契約がいくつもあり、中にはほとんど使っていない契約も。それらの見直しに加え、食費の支出も多かったので食費を月々2万円減らしました。
それによって、iDeCoの掛け金4万円が捻出できただけでなく、新たに3万円を貯蓄にまわせるように。今回の家計見直しを通してマネープランへの関心が高まり、今後は貯蓄目標をもっと増やしてマイホーム取得やつみたてNISAも頑張りたいと前向きです。今後はボーナスからも貯蓄できるようにしていくとのことでした。
事例2)専業主婦家庭Bさん夫婦 夫31歳 妻33歳
不妊治療に費用がかかり将来が不安という夫婦の相談です。
妊活をしているBさん夫婦。不妊治療のため体調を崩すこともあり、しばらくパートには行けそうにありません。治療費もかかるし、今後が不安で家計の見直しをしたいとFPに相談することにしました。
夫の給与(手取り)は、月額23万円。食費や日用品、お小遣いも特に無駄があるわけではありませんが、気になったのは生命保険の加入金額。奥様が独身時になんとなく加入した保険には、死亡保障が3000万円もありました。
もし奥様に万一のことがあった場合、金銭的なリスクがないのならこの保障は必ずしも要るものではありません。そこで奥様は、お葬式代として死亡保障を300万円に減額しました。その他、携帯を格安スマホへ切り替えたことや、奥様の趣味で特技でもある手作りバッグのネット販売を始め、これまでより毎月3万円多く貯蓄できるようになりました。
二人暮らしの生活費、節約ポイント・揉めないポイントは
二人暮らしをする際にぜひ取り組んでおきたいのは、お金のことを二人で共有できる雰囲気作りです。共働き夫婦は特に、それぞれが自分のもらった給与から支払うことが多いため、お互いのお財布事情が分からないまま、相手が貯めてくれていると思い込んでいることも。
車やマイホーム購入のような大きな支出があるときに、実はどちらも貯めてなかった・・・となると残念ですよね。概算でも二人の貯蓄額を共有し、給与やボーナスから計画的に貯められるようにしたいものです。
収入の比率に合わせて貯蓄割合を決めると納得感があるかもしれません。もちろん、家賃や光熱費、食費などの負担の仕方も家庭によって違いますので、そこも含め話し合い、計画的に家計管理をしていきましょう。専業主婦家庭の場合でも同様です。得意な方が家計管理を先導するのも良いですが共有は必要です。一緒に将来を見据えて生活していきましょう。
二人暮らし家計おすすめアプリ
家計管理アプリは多種多様ですが、私のクライアントは
1位 マネーフォワード
2位 マネーツリー
を利用しているケースが多いようです。
使いやすさは人それぞれですが、口座やクレジットカードとの紐付けができ、家計がまるごと確認できるため、手書きの家計簿やエクセル管理より手軽で正確に記録することができます。ポイント管理も同時にできるので、一通り家計が見渡せます。
また、家計簿アプリの多くは月の収支をグラフ化してくれるため、自分たちの消費行動に気付きを得やすいのも特徴です。「家計簿は付けた後にどう活かすか」が肝になります。
また、アプリは夫婦でひとつのアカウントを作成し、それぞれがスマホ等でログインするようにしておけば一緒に家計管理ができます。
夫婦で家計簿を共有することについてよく伺うのは、「隠すつもりはないけど、コンビニでお菓子を買ったとか、服や雑貨を買ったとかが全て見えてしまうのは少し抵抗が・・・」という意見。その場合は、連携しないお小遣い用の口座をひとつ持つなどで、給与口座からお小遣いを払い出したという家計簿の処理にして、お小遣いの中身まではアプリに入力しないでよい方法をとることもできます。
まとめ
今回は二人暮らしの生活費について見てきました。まとめると、以下のようになります。
・20~40代の生活費の平均は24万~32万円程度
・手取り15万円なら、生活費の割合は、住居費30%、食費27%程度に抑えるのが理想
・手取り25万、30万になると、小遣いやレジャーなどにも予算が取りやすくなるが、同時に貯蓄も増やすことが必要
・夫婦で家計や貯蓄の情報を共有することで、気持ちをひとつに家計管理を頑張れる
・家計管理アプリを活用すると、手間をかけずに家計管理ができるのでおすすめ
三大疾病であるがん、脳卒中、心筋梗塞のような成人病は生活習慣病といわれますが、家計も同じ。日々の生活習慣の積み重ねが将来の資産形成につながります。それぞれの夫婦が納得できるお金の使い方を選択し、かつ、将来も安心できるような仕組み(生活費の適正割合)を見つけられたら良いですね。この記事が参考になりましたら幸いです。
二人暮らし家計についてのQ&A
Q.家計簿の食費には、職場での昼食代や休日の外食費も含めるべきですか?
A:費目の分け方は自由なので管理しやすい方法で良いでしょう。例えば、職場での昼食は小遣い、休日の外食はレジャー費にすることもできます。
Q. 共働きなのですが、生活費の負担をどのように分けたら良いか分かりません。
A:例えば、主に食事を作る方が普段の食費は負担する、その代わり、外食はもう一方。また家賃や光熱費など振替で払うものは口座をひとつにまとめ毎月決めた金額をお互い入金するようにすると公平に負担できます。収入のバランスも考えて決めるのがコツです。