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ボージョレが2.2倍!多くの富裕層がやっている「ワイン投資」とは?

経済とお金のはなし 竹中英生

ボージョレが2.2倍!多くの富裕層がやっている「ワイン投資」とは?

【画像出典元】「David Tadevosian/Shutterstock.com」

新型コロナウイルスによる、世界規模での経済活動の停滞に加え、ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギー価格は高騰。欧州をはじめさまざまな国々で混乱が起きています。このように世の中が不安定な時に価格が高騰すると言われているのが「金」です。

金は「有事の金」と言われており、実際に今回のウクライナ侵攻開始以降、その価格はぐんぐん上昇しています。この金のように、現物の商品に対して行う投資を「コモディティ投資」といいます。コモディティ投資は、金以外にも大豆やトウモロコシなどの穀物が対象となるケースが多いですが、中にはワインなどが投資対象となる場合もあります。

そこで本日は、多くの富裕層が実際に行っている「ワイン投資」について解説していきます。

実は多くの人がすでにやっているコモディティ投資

ロレックスの時計
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男性向けの高級時計ブームは10年くらい前から始まっていますが、それより少し前にパテック・フィリップやオーデマ・ピゲ、ブレゲなどの超高級時計が一部の富裕層の間で売れに売れた時代がありました。皆さんご存知のロレックスも同様で、数年前には100万円で買えたものが今では300万円ほどに値上がりしており、中古品も高額で買い取られています。

このように、ロレックスに投資を行う「ロレックス投資」以外に、「スニーカー投資」なども行われており、プレミアム商品に対するコモディティ投資は私たちの周りでも日々活発に行われています。

こういったコモディティ投資のひとつが、「ワイン投資」です。

ワイン投資の特徴

ワインが並んだ棚を見る男性
【画像出典元】「stock.adobe.com/Ilshat」

フランスのボージョレ地方で採れたガメイ種で作られる新酒「ボージョレ・ヌーヴォー」は、毎年11月の第三木曜日に解禁されます。今年は11月17日に解禁されますが、上述のロシアによるウクライナ侵攻によりエネルギー価格が高騰した結果、昨年と比べ最大で2.2倍の価格(1本あたり約3000円前後)となることがインポーターであるサントリーから発表されています。

ガメイで作られたワインはタンニンが少ないため長期熟成に向かず、ワイン投資の対象とはなりませんが、ボルドー地方で作られたワインをはじめ、多くのワインが投資の対象となっています。

では、ワイン投資ならではの特徴とは何でしょうか?

特徴① 新品にはあまり高値が付かない

上述のロレックスの場合、買ったその日から腕にはめて使うことができます。しかし、投資対象となる高級ワインの多くは、ワイナリーからリリースされた直後に飲んでも、正直言ってあまり美味しいものではありません。

特に、ボルドーワインのようにタンニンの強いワインは苦みや酸味が非常に強く、いわゆる「硬い」ためにとても飲めたものではありません。これが美味しく飲めるようになるまでには、何十年も寝かせなければならないのです。

したがって、新品の状態では高い値が付きにくく、熟成させればさせるほど高い値が付きやすくなります。

特徴② ピークを越えると値が下がる

ロレックスや自動車などは、古くなった分だけプレミアムが付加される傾向にあるため、値がさらに上がっていきます。しかしワインの場合は違います。

ワインにはそれぞれ寿命があり、ピークを越えると静かにゆっくりと枯れていきます。機械のように「古くなったら部品を交換する」というわけにもいかないため、古ければ古いほど値が高くなるというわけではありません。

特徴③ 流動性が低く換金しにくい

まったく同じワインを2本買っても、10年後の味が同じであるとは限らないのがワインです。瓶ごとに個体差があるほど、ワインは不安定な商品なのです。また、どれほど優秀なソムリエであっても、抜栓せずにそのワインの品質をズバリ言い当てることはできません。

したがって、よほど信頼のおけるコレクターからの放出品でない限り、一般のオークションサイトなどで望み通りの値付けで売買することは難しいと言えます。

ワイン投資のリターン率はどれくらい?

投資にはリターン率がつきものです。では、ワイン投資の場合いったいどれくらいのリターン率が見込めるのでしょうか?

<参照元>ファインファイン「Liv-ex Index」より引用

上述のチャートは、ボルドーワイン500、ボルドーの高級ワイン(5大シャトーなど)40、ブルゴーニュ150、シャンパーニュ50、ローヌ100、イタリア100、その他60、合計で1000銘柄の世界を代表するワインの世界市場での値動きをインデックス化したものです。

ご覧のように、2017年中頃から2022年の中頃までのデータでは、年率で11.1%ほどのパフォーマンスを示しています。

ただし、こういったETFが実際に株式市場で売買されているわけではないため、残念ながらワイン相場に連動したETFや投資信託を購入できるわけではありません。

ワイン投資のリスク

リスク
【画像出典元】「Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com」

ワイン投資も投資である以上、リスクが生じます。最後に、ワインならではの投資リスクについてお話しします。

リスク① 保存状態によって商品価値が低下する場合がある

ワインの保管業者などに保管を依頼するのではなく、自宅のワインセラーで管理する場合、光の差し具合や温度・湿度などの変化によってワインがダメージを受けたり、熟成が進みすぎたりすることがあります。

そうなると、商品価値が著しく棄損してしまいます。また、長時間の停電が起きてしまうとセラーが作動しないため、ワインがすべてダメになってしまうこともあります。

リスク② 為替の影響を大きく受ける

投資対象となるワインの大半はフランスで作られるもののため、円安になると途端に仕入れコストが上がってしまいます。ですから、冒頭でお話ししたボージョレ・ヌーヴォーのように、倍の値段になってしまうようなケースも考えられます。

リスク③ 投資対象となるワインが高額ワインに限られている

日本で販売されているワインのうち、ワイン投資の対象となるワインは、実はかなり限られています。フランスであればボルドーの5大シャトーとサンテミリオンあたりの数銘柄と、DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)社のブルゴーニュワインが対象になります。

それ以外の地域はイタリアのバローロとカリフォルニアのカルトワインがそれぞれ1,2銘柄程度と言ってもワイン好きから怒られることはないでしょう。

これらはどれも高額です。昔のようにケース買いして20年くらいセラーで寝かせておくにはお財布に厳しすぎます。

終わりに

ワイン投資はロレックス投資と同様に、コモディティ投資としてそれなりのリターンを期待することは十分に可能です。しかし、ワインという特性上、一個人が売却して現金化することは難しく、そのためのマーケットも日本ではまだそれほど整備されていません。

「値上がりはするものの現金化は難しい」という点では投資対象として考えるのは難しいかもしれませんが、ワインを好きになると、職業や年齢・思想などを超えて世界中のさまざまな人たちと知り合うことができます。

そこで得た知識や考え方、人脈は、あなたの人生を良い方向へ変えうる素晴らしいものになるはずです。ワイン投資における本当の利回りは、こういった無形資産にあるのではないかと思います。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。