FX「初心者は危険」と言われる理由は?注意点やリスク管理の方法を解説
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インターネットでもよく見かける「FX」という言葉をご存じでしょうか?大儲けができるとか、大損するとか、いろいろな評判も聞こえてきます。また投資方法としてのFXは、特に初心者には危険でやめておいた方が良いとも言われます。今回はFXという投資方法の基本的な仕組みに加え、注意点・リスク管理について取り上げていきます。
FXの投資の仕組みと特徴
FXとは「Foreign Exchange」の略で「外国為替証拠金取引」。外国為替市場での通貨取引を指す投資方法です。通貨ペア(例:米ドル/円、ユーロ/米ドルなど)の価格変動を予測し、その変動に応じて利益を得ることを目指します。以下に、FXの簡単な特徴と基本的な仕組みをまとめます。
①24時間取引が可能
FX市場は世界中で行われており、24時間取引が可能です。異なる国や地域の時間帯でも取引が行われるため、好きな時間に取引できます。
②レバレッジ効果
FX取引では、証拠金(デポジット)を預けることで、実際に保有している資金よりも大きな金額で取引を行うことができます。これをレバレッジと呼びます。ただし、レバレッジは利益だけでなく損失も大きくなるため、慎重に扱う必要があります。
③通貨ペアの取引
FXでは、通貨ペアごとに価格変動が生じます。主要な通貨ペアには、
・米ドル/円(USD/JPY)
・ユーロ/米ドル(EUR/USD)
・ポンド/米ドル(GBP/USD)
などがあります。
価格変動はさまざまな要因によって引き起こされるため、政治や経済のニュースや指標の発表に敏感になることが重要です。
FXは通貨の価格変動を予測して利益を得る
FX(外国為替証拠金取引)では、通貨ペアの価格変動を予測して利益を得ることを目指します。
①為替レートの上昇・下降の予測
FXトレーダーは、通貨ペアの為替レートが上昇するか、下降するかを予測します。例えば、米ドル/日本円のペアで、ドルの価値が上昇すると予測した場合、ドルを買って円を売ることで利益を得ることができます。
②金利差による利益
スワップポイントと呼ばれ、2つの通貨の金利差によって発生し得られる利益のことで、株式配当金や預金金利のようなものです。各通貨の金利水準の差によって決まります。通常、高金利通貨を保有すると金利を受け取ることができ、低金利通貨を保有すると金利を支払います。
外貨預金とFXの違い
外貨預金とFXは、両方とも外国為替市場を利用する投資手段ですが、それぞれ異なる特徴とリスクを持っています。
外貨預金
<リスク>
外貨預金は比較的安全な投資手段です。為替リスクや市場の変動に対して比較的安定しています。
<利回り>
外貨預金の利回りは一般的に低く、特に安定した通貨で預金した場合はさらに低い場合があります。ただし、リターンがあまり高くない分リスクを抑えられ、安定した収益を期待できます。
FX(外国為替証拠金取引)
<リスク>
FXは投資リスクが高い手段と言えます。為替市場は非常に変動しやすく、予測が困難です。そのため、予想外の為替の変動により損失を被る可能性も高くなります。またFXはレバレッジを掛けて運用することが多く、小さなレートの変化でも大きな影響を受けます。レートの急激な変化による損失を防ぐためロスカットという仕組みもありますが、あまりにも急激な変動をした場合は、預けた証拠金以上の損失が発生することもあります。
<利回り>
FXは投資手段として高い利回りを期待できます。為替相場の変動により、利益を上げることも可能です。ただし、利益を得るためには相場の正確な予測や適切なトレード戦略が必要です。
最終的な選択は、個人の投資目的、リスク許容度、知識レベルに基づいて行わなければなりません。リスクを抑えて安定した収益を求める場合は外貨預金が適しています。高いリスクを受け入れてでも利益を追求する場合はFXが適しているかもしれません。
少ない資金で大きな取引ができるレバレッジのリスク
少ない手元資金で大きな取引をできるのがFXの特徴です。FXの取引方法をレバレッジ取引と呼ぶこともあります。レバレッジ取引では証拠金を預け、その資金を担保にすることで証拠金の数倍から数十倍の金額取引が可能です。
日本では法律によりレバレッジの最高倍率は25倍までと定められていますが、仮にレバレッジ25倍で設定すると、100万円分の取引をする場合でも手元資金は4万円で運用できます。このように、レバレッジを大きく設定し、手元資金が少なくても大きな取引ができることはFXのメリットでもありますが、損失が出た場合、レバレッジの設定によっては非常に大きなマイナスを発生させる可能性があるので注意が必要です。
初心者は必ずチェックを!FXのリスク管理
FX(外国為替証拠金取引)は大きな利益を狙える一方で、いくつかのリスクが存在します。特に初心者が注意すべきFXのリスクをいくつか挙げてみます。
レバレッジリスク
すでに説明してきましたが、FX取引では証拠金を担保代わりにして、手元資金より大きな取引を行えるレバレッジ取引ができます。レバレッジをかけた取引は利益だけでなく、損失も同様に拡大する可能性があります。相場の予測が外れた場合、証拠金以上の損失を被ることになるため、慎重な取引が必要です。
ボラティリティリスク
ボラティリティとは一般的に「価格変動の度合い」を示す言葉です。ボラティリティは市場の流動性(売買の活発さ)が大きく関係し、米ドル/円(USD/JPY)やユーロ/米ドル(EUR/USD)などの通貨ペアは市場参加者が多く、売り手も買い手も豊富なのでボラティリティが低くなる傾向にあります。
一方、南アフリカランド/円(ZAR/JPY)やトルコリラ/円(TRY/JPY)などの通貨ペアは、米ドル/円(USD/JPY)などのメジャー通貨と比べると流動性が低く、ボラティリティが高くなる傾向があります。ボラティリティが高い=為替レートの変動が激しいということになるので、大きな利益を期待できる反面大きな損失を生む可能性があります。
心理的な負担
FX取引は相場の変動に常に敏感であるため、心理的なストレスを引き起こす場合があります。特に初心者は相場の変動に対して過剰に反応し、感情に左右された取引を行いがちです。取引において冷静さを保つことが重要であり、感情的な判断によるトレードはリスクを高める可能性があります。
これらのリスクや危険性を理解し、慎重な取引計画を立てることが重要です。初心者は、十分な知識や経験を身につけていない状態で大きなリスクを取ることは避け、まずはデモ取引やリスク管理手法の学習を通じて経験を積むことをおすすめします。また、金銭的な損失に耐えられる範囲内で取引を行うことも重要です。
感情コントロールやリスク管理が重要
FX取引において、初心者が覚えておくべきポイントをいくつかご紹介します。以下のポイントを参考にしてください。
リスク管理を重視する
FX取引は高いリスクを伴う投資です。初心者は特に、損失を最小限に抑えるためのリスク管理が重要です。損失を出す可能性を考慮し、許容できる損失範囲を設定しましょう。
十分な知識を身につける
FX取引に取り組む前に、基本的な知識を身につけることが大切です。通貨ペアの特性や相場の動きを理解し、テクニカル分析やファンダメンタル分析の基礎を学びましょう。
デモ口座での練習
初心者は、実際に資金を投入する前にデモ口座を利用して取引の練習をすることをおすすめします。リアルタイムの相場環境でトレードを体験しましょう。
感情をコントロールし、冷静な判断を心掛ける
FX取引は相場の変動によって利益や損失が生じます。取引中に感情に左右されて判断を誤ることがないようにしましょう。冷静な判断と感情のコントロールが重要です。
レバレッジの理解
レバレッジを使ってFX取引を行うことが一般的ですが、レバレッジが高いほどリスクも高まります。レバレッジの仕組みやリスクをよく理解した上で、慎重に取引を行いましょう。
プランニングと記録の重要性
取引前にトレードプランを立てることは重要です。利益確定と損切りのレベル、ポジションサイズなどを明確にしましょう。また、取引の結果や理由を記録することで、後で振り返った時に学びを得たり、改善点を見つけたりすることができます。
十分な資金管理
取引に使用する資金の管理は非常に重要です。一度に多くの資金を大きなリスクにさらさず、適切なポジションサイズや損切りラインを設定しましょう。
これらのポイントを念頭に置きながら、慎重に取引を行うことが重要でしょう。
まとめ
FX取引は短期的な値動きに基づいて利益を追求する投資手法です。為替市場は非常に変動的で予測が難しく、予期せぬ損失を被る可能性があります。また、FX取引は感情的な要素が大きく関与します。
相場の変動や損益の波によって、初心者は冷静さを保つことが難しくなる場合があります。感情的な判断や衝動的な取引が、結果的に損失を招くことも少なくありません。加えて、初心者が理解しないままに取引し、レバレッジの誤った使い方をすると、損失が証拠金を超えたり、大きな損失を被ったりする可能性が高くなります。
FX取引は大きな利益が期待できる反面、レバレッジの効果で大きな損失を被る可能性も高いです。これらの理由から、FX取引は投資初心者には向いていないと言われています。FX投資をする場合は、レバレッジを大きくせず、損失を許容できる範囲で行いましょう。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。