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アルバイトのトイレ・タバコ休憩は労働時間に含まれない?正社員との違いは?

ためる 白浜 仁子

 アルバイトのトイレ・タバコ休憩は労働時間に含まれない?正社員との違いは?

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食事をとったり、スマホのチェックをしたり…。勤務中のトイレ休憩やタバコ休憩はどう扱われるのか気になったことはありませんか?特に6時間以上働く場合、休憩時間の取り方のルールがあるため、知っておきたいポイントがあります。正社員とパート・アルバイトとの違いは?など意外と知らない労働基準法における休憩の定義や、休憩時間と賃金の関係について確認していきましょう。

「途中に・一斉に・自由に」休憩の三原則とは

労働に関することは、労働基準法で基準が定められており、その中で休憩時間についてもルール化されています。具体的には、「休憩の三原則」といって、休憩の時間の長さだけではなく、付与の仕方、過ごし方などが次のように決められています。

1.労働の合間に休憩を「途中付与の原則」

休憩時間は労働時間の途中に設定しなければなりません。その理由は、“働いて疲労した心身を休憩することで回復させ、無理なく働く”ためにあるのが休憩時間だからです。そのため、「忙しくて時間が取れないから、仕事が終わってから休憩しよう」ということは認められません。「仕事の合間」に休憩を取らないと法律違反となってしまいます。

2.従業員一斉に休憩を「付与の原則」

休憩時間は原則、パートを含む全従業員が、職場単位で一斉に休憩を取らなければなりません。それぞれが違う時間に休憩を取ると、休憩時間中に業務関連のことを尋ねられる、といったことが起こって、きちんと休憩できない可能性があるためです。しかし、例外として、保育所や病院、接客業など交代で休憩を取らなければ業務に支障をきたす職業は、一定の要件のもと認められます。

3.労働からの解放「自由利用の原則」

休憩時間は労働からしっかり解放されることが必要です。労働基準法では、原則として、休憩時間の使い方を制限してはならないとされています。しかし、だからと言って、何をしてもいいわけではありません。職場の規律を守ることや、他の従業員の自由権利を妨げる場合には例外として制限できる場合もあります。

アルバイトや正社員も休憩時間は無給

休憩時間といっても、勤務中ではあるため賃金が支払われると良いのですが、残念ながら、労働をしていないため賃金は計算されません。これは、正社員・契約社員・パート(アルバイト)など、雇用形態が異なっても同じです。休憩時間は雇用形態で左右されることなく、労働時間で決まります。では、休憩時間は実際にどのくらい取ることができるのでしょうか?

6時間勤務で45分の休憩が必須、労働基準法における休憩時間とは

休憩時間
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労働基準法第34条では、労働時間によって休憩時間が定められており、次の3パターンに分けられます。これらは分割して取ることも可能です。

・労働時間が8時間超→1時間以上の休憩が必要
・労働時間が6時間超→45分間以上の休憩が必要
・労働時間が6時間以内→休憩は不要

もし、パートでの労働時間が6時間以内なら、休憩を取らなくても良いということになります。ただし、残業が発生した場合は、残業時間を含めた時間が「実質の労働時間」となるため、残業と合わせて6時間を超える場合は、途中で休憩時間を確保しなければいけません。

トイレ・たばこ休憩は「休憩時間外」?休憩外の扱いと注意点

タバコを吸う男性
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 休憩とは「自由に過ごすことのできる時間」を指しますが、休憩中に業務が発生する、といった場合も少なくないでしょう。その場合は、労働時間となり休憩をしていないことになります。具体的なケースを見ていきましょう。

・労働から離れられないケース

①休憩中に電話対応や電話番、来客対応をしている
電話番の待機時間など、いわゆる手待ち時間は休憩に含まれません。

②仮眠時間
施設管理や警備業務などの長時間の夜間勤務では、仮眠時間が設けられる場合があります。仮眠場所と就労場所の区別がなく、警報や呼び出しがあれば仮眠中でもすぐに対応しなければならないケースもあるでしょう。こういった場合には、労働時間とみなされることがあります。

③食事をしながらのミーティング
打ち合わせの内容が業務に関することであっても、参加が任意の場合には、休憩時間とみなされます。一方、参加が義務付けられているような場合は労働時間となり、別途休憩を取る必要があります。

・トイレやたばこ休憩は「休憩時間外」

勤務中のトイレは生理現象ですので、休憩時間には含まれません。たばこ休憩は、明確な区別がつけられていないのですが、短時間ですぐに仕事に戻ることができれば、休憩時間に含まれず業務内とされることが多いようです。ただし、喫煙場所が離れていたり、頻繁に喫煙所に行ったりする場合には、労働時間としてみなされない場合もあるため注意が必要。モラルをもって常識の範囲内で、と考えると良さそうです。

「休憩を取らない自由」はない?6時間を超える労働の必須ルール

では、「休憩をせずにその分稼ぎたい!」という場合はどうなるのでしょうか。時給で働くパートやアルバイトの中には、休憩時間を返上してその分多く働きたいと考える人もいるでしょう。労働者が自ら休憩を取らないという選択はできるのでしょうか。

答えは、NO。たとえ労働者が希望したとしても、休憩は労働基準法に従って取らなければなりません。違反した場合は、職場が6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金というペナルティを受けます。つまり、休憩は、労働者の権利であり義務でもあるのです。

フルタイムより6時間勤務が効率的?パート労働の選択肢

では、パート勤務者でフルタイムの8時間労働と6時間労働では、どちらが効率的でしょうか。これは、2つの視点から考えることができます。もらえる給料の違いと、プライベート時間の確保という視点です。

仮に、時給1000円で、週5日・4週間働く場合、フルタイム(8時間)では16万円(1000円×8時間×5日×4週)稼ぐことができます。一方、6時間勤務では12万円(1000円×6時間×5日×4週)となり額面で月額4万円の差となります。当然、少しでも多く稼ぎたい人にとっては、フルタイムが良いわけです。

ただ、フルタイムの場合は、労働時間に加えて休憩時間が45分あるわけですから、実質の拘束時間は長くなります。仮に、休憩時間を含めて時給換算すると、約914円(1日8000円÷8時間45分)で働いていることになります。

それを非効率と感じるなら、その人にとっては、6時間勤務が良いということになるでしょう。また、子どもの習い事の送り迎えや、親の介護、自身のプライベート時間を大切にしたい場合も、6時間勤務の方が魅力的ということになります。反対に、パートから正社員登用などステップアップを目指したい場合は、働く時間を増やしながら、職場で次のワークプランを模索する選択が良いこともあるでしょう。何をもって効率的とするかは、その人の目的によって変わってきます。

パートであっても労働者であることは変わりありません。あやふやなままにせず、労働基準法を知ることで、きちんとルールにのっとり健康に配慮しながら働きましょう。