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サラリーマンの平均生涯年収は〇億円!学歴・男女別の違いは?

ためる 白浜 仁子

サラリーマンの平均生涯年収は〇億円!学歴・男女別の違いは?

【画像出典元】「Dilok Klaisataporn/Shutterstock.com」

転職が一般的になりつつあり、働き方が多様化しています。ワークプランは人それぞれですが、いったい会社員の生涯年収はどのくらいなのでしょうか。生涯年収の平均値や学歴による違い、転職時の生涯年収への影響などについてみていきましょう。

サラリーマンの生涯年収の平均・中央値は?

最初に、正社員全体の生涯年収からみていきましょう。転職サービスdodaが行ったアンケート調査(正社員の年収中央値は?年齢別・都道府県別にも解説-平均年収ランキング【最新版】)を参考にします。

<生涯年収の平均値・中央値>

図表:転職サービスdodaのデータを一部抜粋し筆者作成

この調査によると、生涯年収の平均(推計値)は2億2112万円とのこと。これは、22歳から65歳まで正社員として働き続けた場合です。3億円、5億円と生涯分の収入を1年で稼ぐプロ野球選手がいかに凄いかを感じますが、そうは言っても、私たちの生涯年収も「億」という単位に到達します。人によって退職金があったり、離職して働いていない期間があったりする場合もありますが、この調査では加味されていません。

また、男女別でみると、男性2億4591万円、女性1億7505万円となっており、男性の方が約7000万円多いことも分かります。男女間の仕事内容の垣根や賃金格差は徐々に解消されているものの、まだ浸透してないことや、女性は出産や子育てでキャリアを中断するケースがあることが影響していると言えそうです。

なお、生涯年収はあくまで平均値のため、年収が高い人によって平均が引き上げられる傾向があります。中央値(生涯年収を金額が低い順に並べ、ちょうど真ん中にくる値)も合わせて確認しておきましょう。生涯年収を中央値でみると、正社員全体では、1億9140万円です。平均値より約3000万円少ないことが分かります。男女別の中央値は、男性2億2200万円、女性1億5420万円です。男女差は約6700万円ですので、平均値でみた男女差より約7000万円縮まっています。

学歴別でみた生涯年収はどう変わる?

次に、学歴別で生涯年収をみていきましょう。こちらは、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「ユースフル労働統計2023」で確認します。

図表:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023労働統計加工指標集」より一部抜粋し筆者作成

60歳まで正社員で働き、退職金を含めた場合の生涯年収は、高校卒の男性が2億300万円、女性が1億4920万円です。

高専・短大卒、大学卒と最終学歴が上がるにつれて生涯年収は増え、大学院卒になると、男性3億円台、女性で2億円台と大台を超えています。やはり、高学歴であるほど収入が高くなっています。高卒と大学卒で比較すると、男女ともに約5000万円の開きがあるようです。

10年前と比べて生涯年収は上がっているのか

上昇グラフ
【画像出典元】「stock.adobe.com/Polinmr」

私たちの収入は全体的に増えているのでしょうか。前項で紹介した機構が公表する「ユースフル労働統計2022」で、2011~2020年の生涯賃金の推移が紹介されています。これによると、全体として少しずつ上昇傾向にある印象ですが、2019年から2020年に向けては下がっているようです。

【男性】生涯賃金の推移

出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022  労働統計加工指標集」

【女性】生涯賃金の推移

出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022  労働統計加工指標集」

今後はどうなるでしょうか。昨今は、コロナ後の物価高への対応や、長期的な経済活動の活性化を目指し、賃上げを企業に求めるなど、政府がさまざまな対策を行っています。また、人手不足による人材確保という意味でも、初任給の引き上げをする企業も大企業を中心に増えてきました。そういった意味では、今後の日本経済の行方によって生涯年収も大きく変わることが期待できそうです。経済の行方が注目されます。

転職すると生涯年収は増える?それとも減る? 

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【画像出典元】「stock.adobe.com/Konstantin」

最近は、日本も欧米のような考え方が少しずつ広がり、従来のように同じ会社で定年まで勤めるという時代ではなくなっています。転職サイトが増え、転職関連のCMもよく見かけるようになりました。ただ、転職することが、必ずしも生涯年収アップにつながるわけではありません。

転職後の年収アップは嬉しいものですが、合わせて、退職金についてもしっかり押さえておく必要があります。日本では、大手を中心とした中小企業に退職金制度が設けられており、それが老後の生活を支えてくれます。転職時も退職金が支給されますが、定年退職でないため、それほどもらえません。そういう意味では、転職をすると勤続年数がリセットされてしまい不利に働く面もあるということです。

このようなことも踏まえ、自身の生き方、つまり、どのようなライフプランを実現したいか、そのためのワークプランはどうするかを丁寧に考えていきたいものです。また、日本社会でも成果主義、実力主義へとシフトしている企業もあります。勤め先が変わることで、大きく収入が増えるケースがあるのも事実です。一方、残念ながら転職によって収入が下がる場合もあるわけですから、今の業務内容や会社との相性、今後のキャリアプランを見つめ直し、じっくり検討することが大切です。

生涯年収・自己資産を増やすためにできること

生涯年収が増えると、日々の生活はより豊かになり、将来に向けた資産形成も進みます。もちろん、お金が全てではありませんが、たとえば、趣味を充実させたり、マイホームの購入を検討する時もグレードアップさせたりできるかもしれません。また、子どもの教育にも選択肢を増やすことができます。

では、生涯年収を増やすためにできることはどういった事があるでしょうか。今の会社で継続的に働くのなら、資格取得などによるキャリアアップがあげられます。リスキリングでより専門性の高い知識や技術を身に付けるという方法もあるでしょう。転職をする場合も同様です。

また、これまで築いたキャリアを活かせる業界について分析をするのも大切です。業界で求められている人材や、業界全体の方向性を理解し、求められる方向でキャリアを磨いていきます。学歴は簡単には変えられませんが、社会人でも夜間や通信などで改めて大学に進学をすることもできます。

収入を増やすこと以外では、資産形成の方法を考えることも人生設計に大きく影響します。預貯金だけでなく、iDeCoやNISAを活用した資産運用にも関心を持ちたいものです。また、勤め先に企業型DC(企業型確定拠出年金)があるケースも増えています。賢く資産形成が出来るよう、マネーリテラシーを高めていくことが大切です。

目先の収入だけでなく、生涯年収という視点で捉えると、働き方だけでなく人生設計にも考えが及びます。生涯年収を知り、自身のワークライフバランスを考える機会を持ちましょう。