持ち家は資産になる?持ち家VS賃貸、夫婦の最適解を探るには
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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、「持ち家」VS「賃貸」と意見が分かれているご夫婦のケースです。一番高いといわれる買い物が住宅であり、さまざまな価値観に左右されます。FP相談でも非常に多い相談の一つです。今後の生活の仕方を大きく変えるといっても過言ではありません。どんなことを優先し、どのように判断すれば良いのでしょうか?
夫婦2人暮らし・20代妻の相談内容
夫婦2人暮らしです。持ち家にするか、賃貸のまま生活するか、意見が割れています。夫はローンによる生活の縛りや就労継続に耐えてまで、マイホームを保有する必要はないのではと言います。また、持ち家にかかる固定資産税や災害時のリスクも懸念しています。
共働きで私の年収も450万円近くあるのでローンも組めますし、私は資産として残す意味でも持ち家が欲しいなと思っているのですが、資産価値にならない物件を購入するリスクもあるのかなと思い悩んでいます。
持ち家・賃貸暮らし、それぞれのメリット・デメリット
最初に、一般的な持ち家と賃貸のメリット・デメリットを整理してみましょう。持ち家は住宅ローンでの購入を前提とします。
<持ち家のメリット・デメリット>
持ち家の場合、戸建ての増改築はもちろん、マンションの内装なども自由に扱える点は大きなメリットといえそうです。ただし、固定資産税などの維持費はデメリットになります。また多くの方が住宅ローンを組むことになるため、減税などのメリットもあれば、今回のご相談者のご主人のように、大きな負担に感じる人もいるでしょう。
<賃貸のメリット・デメリット>
賃貸は、維持費など費用面がメリットとなりそうです。一方、近年よく取り上げられる「孤独死」などの問題もあり、高齢者に物件を貸したくないという家主も増えています。老後、住み替えなどをする際にデメリットとなる可能性も踏まえておきたいところです。
持ち家なら「資産になるかどうか」を意識する人が増加
昨今は住宅購入の際に「資産価値」を意識する人が増えている印象があります。近年物価が上昇しており、主要都市の土地の価格も上昇傾向にあります。住宅を購入しておくことで将来、資産価値が高まる可能性もあります。
例えば価値が上昇すれば売却をし、その資金を元手に老後2人でその時に応じた住み替えを行うという選択肢もあります。
過去を振り返ると1980年代、日本が高度経済成長をしている際も「不動産神話」といわれ「マイホームを購入していれば大丈夫。老後、大きな資産になる」との考え方がありました。今と比べれば随分と金利が高かったにも関わらず、マイホーム志向が定着。ただしその後はバブルの崩壊、長引くデフレ、そして近年では、若い人たちのシンプルな生き方など価値観の多様化に伴い「賃貸の方が効率的、経済的」という意見に触れる機会も増えています。
資産価値と生活の拠点は切り離して考える
マイホームを購入するだけでも戸建てかマンションか、新築か中古かなどさまざまな選択要因があります。条件がそれなりに定まっていても、見合う物件を見つけるのが難しい場合もあります。加えて、将来資産価値として期待できるかどうか?という条件まで設けると、かなり難しい判断になるでしょう。
FP相談を通じて相談者の住宅購入を見てきた筆者の主観が多分に含まれますが、住宅は生活の拠点であり、家族が安らぐ空間でもあり、資産価値を求めるよりも「より良い時間を過ごせるために」という点に重点を置く方が良いと考えます。
そういう点では、ご主人は住宅ローンに対する負担感があり、奥様も災害リスクを心配されています。そういったストレスや不安を感じることなく快適に生活するためには持ち家ではなく賃貸での生活が合っているように感じます。
自宅以外からアプローチする方法も
持ち家か賃貸か?となった場合、どうしても住環境を決めることになるため、適した自宅やそれに伴う資金管理などに目が行きがちです。ただし、あえて自宅以外のことから考えてみるのも一つの方法です。仕事や趣味、旅行、老後絶対に実現したいことなど、比較的楽しい目標や夢を夫婦で話してみてください。その結果として、それらを実現するためには必然的に持ち家があった方が良い、賃貸の方が生活しやすいといった結論に至ることもあります。
将来の資産価値にこだわりたい気持ちもよく分かります。ただし、仮に資産価値が高まっても、売却時の税金や相続などの問題に直面する可能性もあります。大きな買い物ですので、長期的な視点で計画的に決めることが重要ですが、あまり先のことは考えず、今後のお二人の生活や子育てなどをイメージしながら、持ち家・賃貸どちらも選択肢にしながら物件探しをしてみてはいかがでしょうか。
タイミングや巡り合わせを大切に
計画したタイミングで理想的な住宅に出会える人はほとんどいません。戸建ての場合、条件に合う物件や土地を見つけるのも難しく、マンションも空室がなければ入居できません。ひょんなことから条件に合う物件が見つかり、勢いで購入したり住み替えたりする人も意外と多いのです。今回紹介したような視点も加えて、今後の生活について夫婦で楽しく話し合ってみてください。