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相続税ってこんなものにまでかかるの!?生前贈与にも要注意!!

税理士が伝えたい相続とお金のはなし 永瀬 慎太郎

相続税ってこんなものにまでかかるの!?生前贈与にも要注意!!

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親族が亡くなった時、遺された家族は死亡届から始まり、年金など様々なお金の手続きが必要となります。相続に関する手続きでまず確認しておかなければならないのが、故人の財産の状況です。今回は税理士の視点から、財産のお話・死亡後に確認しておいた方が良いことをお伝えします。

相続は遺言書の有無から始まる 

遺言書
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相続とは故人の財産や思いを、遺された人が引き継ぐことをいいます。故人のことを「被相続人」といい、財産や思いを引き継ぐ人のことを「相続人」といいます。まずは被相続人が生前に「遺言書」を作成していたかどうかから話は始まります。

故人が公証役場で公正証書遺言を作成している場合は、その遺言書に沿って財産を分けたり、故人の思いを相続します。作成しているかどうか分からない場合は公証役場にて、無料で検索ができる制度がありますのでご活用ください。

(参考/日本公証人連合会

タンスなどから手書きの遺言書が見つかった場合は、「検認」という一定の手続きが必要です。遺言書に封がしてある場合は開封せず、相続人が全員揃ってから家庭裁判所で開封しましょう。

(参考/裁判所

誰が法定相続人なのかを確認しよう

相続で確認すべきことのひとつに「法定相続人の把握」があります。法定相続人とは、民法で定められた故人の財産を引き継ぐ権利のある人をいいます。配偶者と子供がいる人の法定相続人は、その全員(配偶者・子供)が法定相続人となりますが、配偶者のみの家庭で、子供・両親がいない場合には、故人の兄弟姉妹も法定相続人となるのでご注意ください。
 

押さえておきたいポイントとしては下記のようなことがあります。

・「子供が先に死亡している」「再婚している」等の場合は、戸籍を取り寄せて家系図を作成し、法定相続人が誰なのか確認しておきましょう。
・子供が先に死亡している場合は、孫が法定相続人となります。これを「代襲相続」といいます。
・生前に故人が養子縁組をしていたため法定相続人が増えているケースもあります。相続手続き中に養子縁組の存在が戸籍等で判明し、争うケースもありますので、日頃から家族の状況などは把握しておきましょう。

相続税の申告・納付が必要となる条件は

国税庁が公表した令和4年分のデータによると、1年間に亡くなった人は約156万人、そのうち相続税の課税対象となった人は、約15万人です。割合にして課税対象者は9.6%で、都道府県別では東京都がトップで18.7%です。東京都の割合が高いのは、相続する財産のうち不動産の価格が高いことも影響しているようです。

相続税は故人の財産が次の①と②の合計額を超えた場合に申告・納付が必要となります。

①基礎控除額(その1)3000万円
②基礎控除額(その2)法定相続人の数×600万円

具体例で見てみましょう。

この家庭の場合は父親の相続が発生し、財産が4800万円以内であれば相続税の申告は必要なく、相続税の納税も発生しません。

その他押さえておきたいポイントとしては下記があります。

・上記の財産の算定は、預貯金、不動産などの総財産から、借入金や未払金、葬儀費用などのマイナスの財産を差し引いた財産(純財産)で判定します。
・配偶者の税額の軽減や各種特例を適用して相続税を抑制する場合には、納める相続税が0円であっても、相続税の申告は必要となりますのでご注意ください。

(参考HP:国税庁)相続税の計算

相続税がかかるかどうかは、まず財産を把握してから 

疑問
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相続が発生するとさまざまな手続きが必要ですが、そのひとつに財産の把握作業があります。ご相談のケースをみてみましょう。

【相談内容】
父が2カ月前に亡くなりました。父は自宅と投資用の分譲マンションを所有しており、上場株の取引もしていたようでした。財産の調査にあたって何をどうしたらよいでしょうか。

【回答】
お父様の生前の状況からすると、次のような財産があることが推測されます。下記を確認してみるとよいでしょう。

①預貯金:通帳を確認して各銀行に残高証明書を請求依頼(普通預金以外にも定期積金などを有する場合もあり)
②不動産:各市町村役場の固定資産税課で固定資産評価証明書を入手する(毎年5月くらいに固定資産税の課税明細書が送られてきているので、その内容でも不動産の状況が分かります)
③株式:証券会社に問い合わせて残高証明書を発行してもらう

もう少し深堀りすると、金融機関へ残高証明の発行依頼や通帳の解約に出向く場合は、手続きに必要な書類等を電話で確認しておくとスムーズです。

また投資用不動産を取得するための借入や、自宅のリフォームなどのローン残高が残っている場合は、マイナスの財産として他のプラスの財産と差引されますので、こちらの借入残高もチェックしておきましょう。

相続税の財産の範囲は 意外と広範囲 

相続財産
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相続税は一定額以上の財産がある場合、その財産に対して課税されます。どのような財産に対して相続税が課税されるのかを見てみましょう。

①宝石などの貴金属:鑑定により財産額を決定します
②自動車:自動車販売会社などに査定を依頼し財産額を決定します
③家財道具:ご自宅のタンスなどの財産額をおおよそで決定します
④オンラインバンクの残高:通帳が無いので見落とされやすい財産です
⑤電子マネー:スマートフォンの中の残高も財産になります
⑥死亡保険金:一定額以上は、相続税の対象となります
⑦貸付金:故人が貸していた貸付金で、まだ返済を受けていなかった金額は相続税の対象となります
⑧自宅の庭園:庭師などの評価により財産額を決定します。庭の木、庭石、池、池の中の鯉なども財産です

(参考HP:国税庁/相続税がかかる財産

えっ!?これも相続税の課税対象に?

故人が直接手元に有する財産以外にも相続税の対象となるものがあります。具体的な相談を見てみましょう。

【相談内容】
令和6年9月10日に父が他界しました。私は父より生前に、毎年100万円の現金の贈与を5年ほど前から受けていました。この贈与を受けた現金はもう使ってしまったのですが、この現金にも相続税がかかるのでしょうか。

現金の贈与の状況
①令和2年7月3日 100万円
②令和3年9月9日 100万円
③令和4年7月7日 100万円
④令和5年7月7日 100万円
⑤令和6年7月7日 100万円

【回答】
毎年生前贈与を受けていたケースです。お父様が亡くなる3年前(令和3年9月10日)以降、亡くなった日までの間に暦年課税で贈与をされた現金は、相続税の財産にプラスして計算します。この3年分の贈与も相続税の課税対象となります。

課税対象となる贈与
③令和4年7月7日 100万円
④令和5年7月7日 100万円
⑤令和6年7月7日 100万円  
合計300万円

税制改正により、令和6年1月1日より対象期間が3年から7年に延長されましたが、この改正の適用は令和9年1月1日以後の相続より適用されますので、今回のケースは3年で計算します。

(参考HP:国税庁/贈与財産の加算

まとめ

相続税
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財産とひと言でいってもその範囲は幅広いものです。相続税には「課税の公平」という観点もあることからその内容は多岐にわたります。相続の相談をお受けしていると、故人が生きている間に次の世代へ紡ぐ財産のことを言葉や行動で伝えてあげられていたら…と思うことが日々あります。家族が健康で元気なうちに、こういった話題についてもコミュニケーションができると良いですね。