「給与・給料・所得・手取り」の違いは?会社員の基礎知識

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「学校を卒業し、いよいよ就職だ!」と新しい環境を前に胸を躍らせる人もいれば、初めての社会人生活に不安を感じる人もいると思います。社会人になると自分で考え行動をしなければならないことが増えますが、その一つが「お金」のことです。
働き出すともらえる「給料」は、「給与」「所得」「手取り」と表現されることもあります。これらの意味の違いは何でしょうか。ここでは新社会人に向けて、会社員なら知っておきたい給料に関連するお金の基礎知識を紹介します。
「給与」「給料」は何がどう違う?
「給与」と「給料」は同義語として使われることが多いですが、厳密には異なります。
正しくは会社から支給される全ての収入のことを「給与」と言い、「給料」は給与の一部という位置づけです。
つまり、「給与」は基本給に加え資格手当や家族手当などの各種手当、残業代を含めたものを言い、賞与も含まれます。それに対し「給料」は、給与のうち基本給の部分を指し各種手当などは含みません。
また給与のことを「額面」または「額面給与」とも言います。会社から支給される額面給与から所得税や住民税、社会保険料などが天引きされて、実際に受け取れる額が「手取り」です。つまり、銀行口座に振り込まれる金額が手取りということになります。
さらに、1年間(1月1日~12月末)の給与の収入合計から必要経費を差し引いたものが「所得」ですので、所得は「収入-経費」で計算します。例えばラーメン店はラーメンを販売して収入を得ますが、食材の仕入れや人件費など様々な経費が掛かります。収入(売上)からそういった経費を差し引いた額が「所得」です。
一方、会社員には経費という概念がありません。しかしスーツや靴、筆記用具など自分で負担しているものもあるため、経費相当額として「給与所得控除」という一定の控除を受けられるようになっています。
給与所得控除とは?

給与所得控除とは、会社から給与をもらっている人に与えられる経費控除のようなもので、控除額は収入によって異なります。

年収300万円の場合で所得を計算してみましょう。
・給与所得控除額
300万円×30%+8万円=98万円
・所得
300万円-(給与所得控除98万円)=202万円
よって、年収300万円の人の所得は202万円です。
様々な制度等を利用する際に所得要件が設けられていることがあるため、収入と合わせて所得はいくらかも知っておくと良いでしょう。
給与明細の見方
給与明細の見本を使って、額面と手取りの記載位置を確認していきます。実際は勤め先によって様式が異なりますが、記載される内容は基本的に同じです。

この月の給与は、基本給や資格手当、時間外手当などの計29万2000円(①部分)であることが分かります。給与=額面です。そこから差し引かれる健康保険や厚生年金などの社会保険料と税金の合計は5万8500円(②部分)となります。そのため、実際の受取額は23万3500円(①-②)となり、これが手取りです。
なお新社会人の場合、初年度は給与から住民税は差し引かれません。住民税は前年の所得をもとに計算されるためです。新社会人は1年目の住民税の負担がなく、2年目から引かれることも知っておきましょう。
月給・年収の額面金額から手取りを計算する方法

このように給与明細を見ると額面や手取りがすぐに分かります。しかし、給与明細を見なくてもおよその手取りを知ることは可能です。家族の扶養状況などによって変わることもありますが、手取り額は「額面金額の約8割」が目安となります。ざっくりで良いから手取りを知りたいという時に便利です。
【給与別の手取り額(目安)】

額面と手取りの違いから、就職活動の時の想像より手取りが少ないと感じる人は少なくないと思います。また以前は紙に印刷された給与明細を手渡されていましたが、近年は職場のイントラなどwebで自ら確認する方法をとる会社が増えており、銀行口座で入金額を確認するだけで給与明細はしばらく見てないという人も珍しくありません。
頑張って仕事をした対価として受け取る給与だからこそ、額面から何がどのくらい控除されているかきちんと確認したいものです。それによって引かれっぱなしではなく税金や社会保険についての関心を持つことにも繋がります。
まとめ
今回は、給与、給料、所得、手取りといった収入に関する言葉の意味を中心に確認しました。社会人になって最初の給与は一人前になったことを感じる瞬間でもあります。今を楽しむために使うお金、そして将来のための貯蓄など考えながら賢くお金と付き合っていきましょう。