【弓削聞平の福岡グルメ】おひとりさまビギナー歓迎のアットホームな店
監修・ライター
よく聞かれる質問の一つが「一人でも行きやすいお店を教えてください」というものです。特に女性に聞かれることが多いですね。女性のなかにも臆することなく、どんどん初めての店ののれんをくぐる人もいますが、多くの人はなかなか一人で初めての店に入るのは勇気がいります。
ぼくも実はどこでも一人で行けるというタイプではないのですが、今では一人で行くなじみの店が20軒ほどあります。しかし思い起こせば、それらのほとんどは最初誰かと一緒に行き、カウンターでお店の人とお話をして気心が知れたからこそ、一人で通うようになったように思います。
つまり、「一人で行きやすい店」というのはそれぞれの相性によるところも大きいので、私が「ここは一人でも大丈夫」と思っても、必ずしもすべての人にとってそうかというのはわからないものです。
とのっけから言い訳じみた導入になってしまいましたが、ここなら店主も常連も一見客にやさしいし、多くの人が最初からなじみやすいんじゃないかなと思う店をいくつかご紹介しましょう。
兄に誘われ、食材も人もいい福岡に移転 「町屋あかりや」
まず最初は赤坂駅から徒歩3分くらいのところにある「町屋 あかりや」です。まだオープンして1年足らずなのですが、ずっと前からこの町にあるような風情を醸し出しています。
ここは今泉の人気イタリアン「チェルニア」の畑シェフの妹さん・まゆこさんの店。実はまゆこさん自身も、東京の下町で10年以上この「あかりや」をやっていたのです。なのでお店は新しいのですが、料理も接客も実に安定感があります。
店はカウンターとテーブルが2つ。「チェルニア」同様、生産者の顔がみえる食材を使った酒によく合う和洋食が、実にいいバランスで揃っています。日によって1、2名いるスタッフが全員女性ということもあり、モダンな小料理屋といった風情で、男女問わず、「私も常連になりたい」と思わせてくれるんです。
屋台に憧れ、屋台さながらの実店舗を開業 「童童」
次に紹介するのは渡辺通の九電の裏にある「童童(わらべ)」。この店もオープンして2年半くらいですが、広島で21年にわたって営業していた店なので、「あかりや」同様、ずっと以前からここで営業していたような空気感を感じられます。
広島出身の店主・遠藤祐司さんは、何度か福岡に遊びに来ているうちに、福岡の街、そして屋台の雰囲気に惚れ込んでしまい、一大決心をして移住してきたそうです。
そして出した店は、屋台ではないものの、その席数といい、カウンターの形といい、店主や外との距離感といい、エアコンの効く屋台とでも言えるお店を作ったのです。供する料理はお好み焼き、焼きそばをはじめとして肉や野菜の鉄板焼き料理。本当の屋台のように目の前にネタケースがないからか、屋台以上に臨場感を感じられ、アツアツのつまみに酒が進みます。
こういう店で大事なのはなんといっても、店主の人柄。店を出して瞬く間にリピーターがたくさんついたことは、料理はもちろんですが、遠藤さんのあたたかで気配り十分な接客の賜といえるでしょう。
タイ料理と沖縄料理を一度に味わえる酒場 「ちょいさぼ」
そして最後は「童童」のすぐ横のビルにある「ちょいさぼ」です。ここは薬院大通の交差点近くにあるタイ料理と沖縄料理を出す居酒屋「そいさぼ」の姉妹店で、より気軽に入れる酒場的なお店です。
メニューは「そいさぼ」同様、沖縄&タイ料理ですが、つまみ的なものがたくさんあり、ふらっと立ち寄れる雰囲気です。外からも見えるように、入口を入ってすぐL字のカウンターがあり、笑顔あふれるスタッフがほどよく話してくれて居心地満点です。
タイ料理があるだけにパクチーを使ったメニューもいろいろあるのですが、ちくわの穴にパクチーを詰めた「パクちくわ」なんか、シンプルだけどイケますよ。あと、ぼくがいつも食べるのは水餃子。自分の欲しい数だけ頼めるのがまたうれしいんです。
いずれも一人客にやさしい店ばかりですが、勇気が出ないという人はまず2人くらいで行ってみてカウンターに座り、お店の人と少しお話してみてください。きっと2回目は一人で行けるはずですよ。
町屋 あかりや
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