消費者のためのわかりやすいFinTech(フィンテック)~第9回「クラウドファンディングの楽しみ方」~
インターネットを通して被災地に寄付をしたい、有望なベンチャー企業を応援したい、おもしろそうな地域イベントを支援したい、などなど。クラウドファンディングは、世の中の人々の「優しさ」を形にし、「面白さ」を共有する仕組みです。
今回はフィンテックの中でも特に成長著しいクラウドファンディングについて、その仕組みや生活とのかかわりについてお話しします。
奇想天外なアイディアの実現を一緒に楽しむ!
2017年夏、大分県別府市の遊園地「別府ラクテンチ」を舞台にした「湯(ゆ)~園地(えんち)」というプロジェクトが実施されたのを覚えている方も多いでしょう。
遊園地を温浴施設に仕立て、バスタオル姿でさまざまなアトラクションを楽しむことができるとあって、そのPR動画はyoutubeで400万回以上再生され、全国から実現に向けた資金援助を受けました。
プロジェクト実現のため集まった金額は8200万円。賛同者には当日の入場券をはじめさまざまな特典が付与されるとあって、「一緒になって盛り上げたい」と考える多くの人達から多額の資金が集まった形です。
この資金集めに活用されたのが、今回取り上げるクラウドファンディングという仕組みです。
クラウドファンディングの仕組みとは?
クラウドファンディングの仕組みをわかりやすく言うと、「何か新しいことをしたい」「地域を盛り上げるイベントをしたい」などと考えている人がサイト上で資金を募り、その想いに共感する人が資金援助をするという仕組みです。
現在、クラウドファンディング大手の「Campfire」では、日々多くのプロジェクトで資金募集を行っています。これらのプロジェクトは、大きく以下の3つの分野に分類することができます。
①寄付型
被災地支援・人道支援などの寄付がメインです。
②投資型
ベンチャー企業などの開発支援金募集などに活用されます。株式市場でいうところの未公開株購入と同じく、成功すれば大なり小なりリターンも期待できます。
③購入型
新商品開発・イベント運営・映画製作などの資金を集めます。開発された製品やイベント入場券・鑑賞券などがリターンとなります。
クラウドファンディングは生活の楽しみ方を広げる
クラウドファンディングは、ネット上でお金を寄付(あるいは出資)するプラットフォームです。金額は小口から可能であり、一口500円程度のプロジェクトもあります。手軽に誰かを支援できるプラットフォームとして非常に有用ですね。
しかし、クラウドファンディングの役割は単なるお金の移動だけではありません。プロジェクトにお金を提供するという行為により、私たちは「わくわく感」や「成長する喜び」を共有することができます。
例に挙げた別府の「湯(ゆ)~園地(えんち)」も、一緒になって楽しむ、ともに盛り上げるという気持ちが多くの人達に届き、これだけの資金を集めました。
つまり、消費者にとっては単なる寄付ではなく、「お金に想いを込めて相手に届ける」ということをインターネットで実現できるようになったということなのです。
クラウドファンディングの登場により、私たちはお金に感情を込めて使うことができるようになりました。しかも、ネット上でのやり取りとなるため、相手は身近な人達だけではなく世界中の面白そうなプロジェクトが対象です。
楽しさ、成長の喜び、思いやりなどなど、人間が持つさまざまな感情を"お金のやり取り"という形で実現してくれるクラウドファンディング。
今後さらに大きく発展していくことは間違いありませんね。