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「突然の終了に市民とまどい…」大濠花火大会復活はいくらかかる?

「お金0.2から2.0まで」新しい経済のルールと生き方を考える 中村 修治

「突然の終了に市民とまどい…」大濠花火大会復活はいくらかかる?

【画像出典元】「PhotoAC」

2018年、大濠花火大会の歴史に幕が下ろされた。

公表されている入場者数は43万人。福岡市の人口が約150万人なので、その4分の1が大濠公園に押しかけたほどの規模となっていた大イベントが終了し、2019年の夏には行われない。

こう嘆いているワタシ(中村修治)は、福岡に住んで28年目。残念ながら1度も会場に足を踏み入れたことはない。市民として遠くから眺めるばかりの風物詩だった。そこで冷静にこの大濠花火大会を復活させるためのシナリオを考えてみた。

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完全復活には、おいくらかかるのか!?

大濠花火大会を完全復活させるためには、6000発の花火を打ち上げる経費と43万人の入場者を安全に管理する運営費が必要になる。さて、それらすべてはおいくらなのか!?

ネットとは、すごい。長岡の花火大会の平成30年度の収支がまとめられているサイトを見つけた。(財)長岡花火財団の発表資料なのでガセではない。

【長岡花火財団 平成30年度支出予算】

長岡花火財団支出の図
【画像出典元】「長岡花火財団」

その支出を見て試算してみる。
 

長岡の花火大会は、2日間で103万人の入場者がある全国5位の花火大会である(平成29年実績)。その2日間の経費支出の合計は、7億4697万円とある(財団の年間運営経費を含む)。
 

信濃川河川敷で2日間にわたり行われる。1尺玉を惜しみなく、これでもかというほど打上げる圧倒的なスケールの大きさを誇る花火大会であり、打上げられる花火の種類も豊富とある。

ちなみに上空300mに大輪の花を咲かせる1尺玉の花火は、ひとつが約6万円。長岡の花火大会は、2日間で2万発というのが売りである。その打ち上げ経費の合計は、1億8348万円。1発平均が9174円である。

これを1日6000発打ち上げるのが大濠花火大会だったので、単純計算しても、花火の打ち上げ経費だけでも、5500万円がかかる計算になる。

あとは、花火打ち上げ経費以外の、もろもろ費用の算出である。これが意外と大きい。花火そのものよりもかかる。

長岡の花火大会のその他の運営費の合計は、2日間運営で5億6000万円に及ぶ。入場者数が103万人とあるので、1日で半分の51.5万人として、2億8000万円。入場者数1人あたり540円の経費である。これを大濠花火大会の43万人に当てはめると約2億3000万円である。

市民1人200円で大濠花火大会復活!!!

6000発の花火打ち上げ経費→5500万円。
43万人を収納し管理する運営諸経費→2億3000万円
総合計2億8500万円
約3億円かかるわけである。

福岡市の人口は、150万人。市民1人が200円の寄付をすれば、この数字は可能になる。1949年に「鎮魂と戦後の復興を願って」始まった大濠花火大会。戦後の街に込められた想いは、もう達成された。2019年の夏の前には、元号も変わる。約3億円の経費が、市民のみで賄われたとしたら、面白い。福岡という都市がクリエイティブな街である証明になるような気もする。
ちなみに、前述の長岡の花火大会は、実際に市民や企業からの協賛金収入や観覧席販売収入などを収入源とし、賄われているそうだ。

終了理由は、マナーの悪さか!?

数年前から花火大会自体の安全性に問題があると指摘されているという話を聞いていた。年々、観客のマナーの悪さも増長していたようである。経費の問題だけなら、何とか目処が立つ。しかし、こちらの問題は、根が深い。

従来の無料のイベントやキャンペーンには、規模的限界が生まれる。収益性が低いにもかかわらず、問題が多発する。統制が効かなくなる。タダより怖いものはない。無料の観客の群衆心理の抑制は難しい。

さらに、もしも、市民1人あたり200円を徴収しての花火大会となると、その少額を出している権利を主張する人たちで大問題が発生するのが目に見えている。

虹も花火も、空に上がるものは、みんなのものである。各々の居る場所から、各々の想いで観ればいいのである。小さくしか観えなくても、音が数秒遅れて届いてでも・・・花火は花火。夏は夏。その花火を見上げる、その足元こそが、自分であると自省することが、花火の夜なのである。ひまわりを踏み潰して場所取りをする。公共の場で我が者顔ができる。そんなことを許したら、打ち上げ花火は、本来の意味を失う。

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・・・であるなら、3万円を寄付してくれる1万人だけが大濠公園に入場できるようにしてみてはどうか!?なんて極論をぶち上げてみても、虚しく消えていく・・・。やっぱりお金だけでは、解決できない問題がある。