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老後資金、足りないハズがコロナ禍で黒字に!?そのカラクリは?

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老後資金、足りないハズがコロナ禍で黒字に!?そのカラクリは?

【画像出典元】「AlessandroBiascioli/shutterstock.com」

天海祐希さん主演の映画「老後の資金がありません!」。この話題の映画を見て、改めて老後に不安を感じた人もいるのでは?老後資金の2000万円問題に向けて、節約に励む人も多いかと思います。しかし、コロナ禍で、この「2000万円不足する」と結論付けた計算法が一転。老後は黒字になるというデータが出てきました。どちらが本当なのか、老後資金を試算してみましょう。

「老後資金2000万円不足」問題をおさらい

「老後資金2000万円が不足する」という、金融庁のレポートが公表され大きな反響を呼んだのは2019年夏のこと。

その試算の根拠は、総務省による2017年の家計調査でした。全国の高齢者世帯の毎月の平均収入は約21万円。それに対し、支出は約26.5万円。赤字は約5.5万円になります。もし5.5万円の赤字が30年続いたとすると・・・

5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円

2017年家計調査
【画像出典元】「総務省家計調査年報HP

公的年金を収入の軸にした場合、30年間で約2000万円不足する、というものでした。当時は2000万円という金額の大きさに、多くの人が驚き、ネットでも話題となったものです。

参照:総務省家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)

コロナで老後資金が黒字化!?

2019年夏の「老後資金2000万円不足」問題から、わずか2年。老後は黒字化するという試算が新たに出てきました。2020年の家計調査年報から、高齢者世帯(2人)の1カ月の収支を見てみましょう。

2020年家計調査
【画像出典元】「総務省家計調査年報HP

図を見ると、前回の調査では赤字だった収支が1111円の黒字に。同じ計算式で毎月約1100円の黒字として計算すると・・・

1100円×12ヶ月×30年=396000円

30年で40万円近い貯蓄ができる計算になります。2000万円の赤字から、40万円とはいえ、黒字化する数字が出てきたのには驚きです。なぜこんなことになったのでしょうか。

2020年は、新型コロナウイルスが世界的に流行し始めた年。1人一律10万円の特別定額給付金が支給されました。さらに、図からは社会保障給付も19.2万円から22.0万円に増えていることがわかります。これにより、平均の世帯収入が増加。逆に、外出自粛などで支出が減り、黒字化したという訳です。

参照: 総務省家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)

老後資金は本当に必要ないの?

老後資金
【画像出典元】「Khongtham/shutterstock.com」

2020年の家計調査年報をベースにした計算によると、老後資金は黒字化するという試算が出ました。それでは、私たちの老後は安泰なのでしょうか。まず、特別定額給付金がないものとして計算してみます。夫婦二人で合計20万円を1ヶ月換算すると・・・

20万円÷12ヶ月=16666.6円

2020年の試算では黒字は1111円だったので、特別定額給付金がないと考えると、やはり毎月15000円ほどは赤字になる計算になります。また、これから超高齢化がさらに進むことを考えると、公的年金が減ることも考えられるかもしれません。こうやって考えると、やはり老後資金はあったほうがよいといえますね。

また、家計調査年報は、あくまでも平均値。個々の世帯にあった収入・支出から老後資金を求めたほうが現実的です。まずは自分の年金額を調べ、今の支出から赤字になるか、黒字になるかを計算してみましょう。

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老後資金の計算は、大まかな国の試算などにまかせず、自身の家計の収支を把握することが大切です。公的年金、退職金がいくらなのかを踏まえて老後に必要な資金を計算し、もし足りないのであれば、節約・貯金・投資など、いろいろな手段を考えましょう。