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まだつくるか迷ってる?マイナンバーカード、実際に感じたメリットは

ためる 内山 貴博

まだつくるか迷ってる?マイナンバーカード、実際に感じたメリットは

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マイナンバーカードを作ると最大2万円相当のポイントがもらえる「マイナポイント事業」を総務省が実施するなど、マイナンバーカードの申請が促進されています。ただ、なかには「個人情報の取り扱いが心配」とマイナンバーカード取得に懐疑的な人もいます。

マイナンバーカードを取得すると、何ができて、どのような利便性があるのでしょうか?今回はマイナンバーカードの現状(2023年4月時点)と、筆者の経験則も踏まえたマイナンバーカードを「持っていてよかった」点について紹介します。

マイナポイント、いつまでもらえる?

マイナポイント
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マイナンバーカードの取得を促す意味合いのあるマイナポイント。マイナポイントは買い物で利用できるポイントで、電子マネーや交通系ICなど指定のキャッシュレス決済サービスを1つ選んで手続きすれば、最大で2万円分のポイントがもらえます。

2023年2月末までにマイナンバーカードの申請をした人が対象のため、これから申請する人は対象外となります。また2023年2月末までに申請した人も、実際にマイナンバーカードを受け取り、2023年9月末までにポイントの申し込みをしないと受け取れないので、注意してください。

なお、マイナポイントの申し込みは、「マイナポイント」アプリを利用します(一部は全国各地に設置している支援端末でも可)。その際は、マイナンバーカードの作成時に設定したパスワードが必要となりますので、しっかり覚えておいてください。マイナンバーカードを読み込み、パスワードを入力すると、ご自身が利用したい電子マネーやキャッシュレス決済を選ぶことができます。

確定申告やパスポート更新がより簡単に

パソコンを見る女性
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筆者もマイナンバーカードを取得していますが、「持っていてよかった」と感じることが何度もありました。経験則も踏まえ、以下、マイナンバーカードでできることを紹介します。

自宅で確定申告ができる

確定申告期間中の税務署は大変混雑します。しかし、マイナンバーカードがあれば、自宅にいながら、待ち時間なしで、スマホで簡単に確定申告を行うことができます。ふるさと納税や医療費控除などで還付申告を行う場合も同じです。現在は副業や兼業が認められている会社が増え、会社員でも確定申告が必要という方も少なくないでしょう。その場合もマイナンバーカードがあると、とても便利ですよ。

コンビニで住民票・印鑑証明書等が取得できる

車を買い替える際に印鑑登録証明書が必要でしたが、マイナンバーカードがあればコンビニで簡単に入手でき、大変便利です。手数料も役所で取得するよりも安く抑えることができました。証明書は住民票の写しなども取得でき、コンビニに設置されているマルチコピー機を使って交付されます。
手数料は自治体等によって異なりますが、役所の窓口手続きよりも100円程度お得です。中には200~300円かかる手数料が10円で済む自治体もあります。

パスポート更新・転入転出手続きはスマホでOK

マイナンバーカードを持っている人は「マイナポータル」というアプリを上手に活用してください。例えば2023年3月27日からはパスポートの更新申請にも活用できるようになりました。 従来のパスポートの更新は2回、窓口に出向く必要があり、場所や時期によっては、混雑していて長時間待つことも。マイナポータルからオンラインで手続きを行えば、窓口へ出向く回数は、受け取り時の1回のみ。顔写真もスマホで撮影ができ、大変便利です。その他、引っ越しによる転出や転入の手続きなどもマイナポータルから行えます。

「マイナ保険証」じゃなければ負担増

「マイナ保険証」として健康保険証としての利用が可能です。ただし、医療機関側がシステムを導入していることが前提となります。
システム導入済みの病院を受診する際、通常の健康保険証で受診すると、「マイナ保険証」より初診料が40円(3割負担で12円)高くなります。再診でも20円(3割負担で6円)高くなります。 今後は「マイナ保険証」で受診することがスタンダードとなりそうです。

納税額や病院の受診歴が一覧できる

「マイナポータル」アプリでは、納税状況や病院の診察、処方箋に記載された情報、それから年金の加入状況など、行政機関等が保有するご自身の情報を簡単に確認することができます。子供がいる場合、児童手当の支給状況などもチェックできます。その際もマイナンバーカードとパスワードが必要となります。

マイナンバーカード1枚で本人確認が済む

マイナンバーカードを作っていなくても、国民一人ひとりに「マイナンバー」は存在します。そのため証券会社の口座開設時やパスポートの発給時など、本人確認とマイナンバーの掲示が同時に求められる場面があります。その際、マイナンバーカードなら1枚で確認が済むため、本人確認書類としても便利です。そのため、マイナンバーカードを持っていない場合は、「運転免許証+マイナンバーが表示されている住民票」といった具合に、複数の本人確認書類が求められることがあるのです。

運転免許証と一体化の構想も

運転免許証と車
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このように各種手続きに使えるほか、マイナンバーカード+アプリでさまざまな情報を確認でき、利便性が高まっています。例えば、ふるさと納税の確定申告。マイナポータルから納税証明書が取得できるため、それを用いてe-Tax(イータックス、確定申告)を行えば、オンラインで手続きが完了します。

「ふるさと納税で特産品をもらえるのは嬉しいけど、紙での申告の手続きが面倒…」と感じている人も多いでしょうから、自宅でスムーズにできるのは、とても便利ですよね。

さらに住所変更が金融機関と共有されるようになります。これまでは引っ越しをするたびに銀行や保険会社など各社に連絡し住所変更の手続きをする必要がありましたが、マイナンバーカードと金融機関が連携することで、こういった金融機関での住所変更が不要となります。2024年5月16日から始まり、対応する金融機関も今後増えることが見込まれています。

また、今後マイナンバーカードで一番の目玉となるのは、運転免許証との一体化です。2024年度末までには実施される見込みです。もしかすると「ゴールド免許の方はマイナアプリから免許更新の手続きができる」、そんな時代が到来するかもしれません。

マイナンバーカードの利便性は向上していく

健康保険証、そして運転免許証としての役割も備える―。今後そうなれば、マイナンバーカードを持っておけば、多くの手続きや本人確認が1枚で完結することになります。逆に言うと、持っていなければ本人確認や各種手続きなどで不便を感じる場面が出てくるかもしれません。

例えば、政府は2024年秋ごろに現在の健康保険証を廃止する方針を掲げています。保険証の廃止後、マイナンバーカードを持っていない人が病院を受診する際、どうすればいいのでしょうか?

その場合は、ご自身で「資格確認書」の発行申請が必要となります。この資格確認書には、氏名や生年月日、被保険者番号などを記載します。よって、現在の保険証の代わりの書類を、わざわざ申請しなければならなくなるわけです。 

マイナンバーカードの取得は義務ではありません。一方で、DX(デジタルトランスフォーメーション)や環境配慮のためのペーパーレス化が加速する中、マイナンバーカードは重要な役割を果たし、利便性も一段と高まる可能性があります。まだ申請していない方は、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。