会社員の副業は「雑所得」、確定申告の年間20万円ラインを知ろう
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最近では副業を認める企業も増えてきました。サラリーマンの読者の中にも副業をしている方がいるのではないでしょうか。また、自分の自由になる時間を使ってオークションサイトやフリーマーケットアプリなどで収入を得ている方もサービスの拡大につれて増加しています。
こういった副業で得た収入は一般的に「雑所得」という区分の所得に分けられ、額に応じた税金が課せられるような仕組みになっています。今回は、「雑所得」とはどういうものか、気になる税金はどのくらいかかるのか、などをお話ししていきます。額によっては年末調整だけでなく、確定申告が必要になるため注意してくださいね。
副業収入の税金が面倒…実は簡単!FP解説「税金や年金の手続き方法」
【1】そもそも税金と所得って?
会社勤めの方が毎月もらう給与明細。その中には所得税や住民税など税金の項目があります。所得税は本人が得た所得に対して課せられる税金です。ちなみに所得と一言でいいますが、実は所得は「どうやってその所得を得たか?」によって10種類に区分されています。
1. 利子所得
公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得
2. 配当所得
株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得
3. 不動産所得
不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸し付けなどから生じる所得
4. 事業所得
商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得
5. 給与所得
給料・賞与などの所得
6. 退職所得
退職によって受ける所得
7. 山林所得
5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得
8. 譲渡所得
事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得
9. 一時所得
クイズの賞金や満期保険金などの所得
10. 雑所得
年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料などのように、他の9種類の所得のうちどれにも属さない所得
10種類に区分された所得、ご存知でしたか?
会社員として仕事をして得た所得は給与所得といい、給与所得以外の所得が無ければ年末調整を行うことにより、基本的には税金に関する手続きは終了します。
それでは副業で得た収入はどこに入るか?ということになりますが、その収入をどのようにして得たかによって分類が変わってきます。
例えば副業としてアルバイトを行い、そこから給与として収入を得た場合は給与収入になります。給与ではなくオークションサイトやフリマアプリで売買を行い、収入を得たとすれば基本的には「雑所得」となります。
【2】同じ副収入でも雑所得になったり事業所得になったりするその違いは?
さてオークションサイトやフリマアプリの売買によって得た収入は基本的には雑所得になるといいましたが、中には「事業所得」となるものもあります。
例えば会社員の方が「副業としてインターネット上で売買を行う・YouTubeなどの動画サイトから広告収入を得る」などの場合は、あくまでも副業であるとして雑所得となります。
一方で「専業としてインターネット上で売買を行う・YouTubeなどの動画サイトから広告収入を得る」などの場合は事業所得になります。専業=個人事業主として取り組んでいるのであれば、雑所得には分類されず、事業所得として申告が必要になります。
また例えば「本業は魚屋さんで、魚を使った料理サイトなどを運営し広告収入を得た」というようなケースであれば、本業に関連して得た所得として事業所得に分類されると考えられます。
つまり雑所得や事業所得の違いは、基本的には本業なのか副業なのかの違いによるところが大きいといえます。一般的に収入が多い方を本業、少ない方を副業とします。
【3】雑所得で確定申告が必要になるのはいくらから?
さて所得のおおよその違いが分かったところで税金はどうなるのか?に関して見ていきましょう。日本の税制は簡単に表すと下記のようになっています。
収入―経費―各種控除=所得
この所得の金額に応じた税率を乗じて(掛け算して)税金の金額が確定します。
また、雑所得に関しては20万円までは税金がかかりません。ということは給与所得以外の所得が20万円を超えなければ確定申告を行う必要はありません。一方で副業が上手くいって雑所得が20万円を超えれば給与所得と合わせて確定申告を行う必要があります。
給与の他に、副業として動画サイトから広告収入を得て、そこでの所得金額が20万円を超えれば給与所得と合わせて所得税の確定申告が必要となります。
税金の世界では金額で課税や非課税の区別をするので、「3本しか動画をアップしてないけど、そのうちの一つがバズって所得が20万円を超えた」ということであれば確定申告が必要です。逆に「いっぱい動画をアップしているけど再生数が伸びず、まったく所得がない。20万円を超えるのは夢のまた夢」ということであれば確定申告は不要です。
次は、雑所得を得るときに忘れてはいけない申告や注意点です。