子供の教育費って月いくら積み立てたらいい?学資保険の貯蓄型と保障型でメリットデメリットを検討
子どもが生まれたお父さん・お母さんから相談の多い「教育資金の積み立て方法」。なぜ教育資金を積み立てる必要があるのか、それは大学4年間にかかる費用が、国立に進学すると「約240万円」、私立(文系)に進学すると「約400万円」もかかるからです(※)。
※文部科学省調べ(国立大学は平成28年度、私立大学は平成26年度の平均)
積み立てる目的はほぼ大学費用のため
小学校や中学校、高校の教育資金は、毎月の給料やボーナスから充当しても家計のやりくりには問題ないと思います。しかし大学の入学金や授業料などを毎月のやりくりから捻出しようとすると、あっという間に家計がショートしてしまいます。
そのため、子どもが18歳になる時期を目指して、多くの方が教育資金を積み立てています。子どもが生まれてからすぐ始めるのがベストですが、まだという方は、今すぐにでも始めてください。
積み立てる方法は、たくさんあります。毎月コツコツ銀行に積み立てる、ジュニアNISAを使って資産運用をする、学資保険に加入するなど。児童手当をそのまま銀行に積み立てておくという方もいます。これらの中で最も多く利用されているのが、生命保険会社が販売している「学資保険」です。
ひとくちに学資保険といっても、「貯蓄型」と「保証型」の2通りがあるのを、皆さんはご存知でしょうか。貯蓄型とは貯蓄を重視したタイプ、保障型とは親や子どもの保障が付いているタイプです。今回はその学資保険にスポットを当てて解説していきます。
元本割れする学資保険と知らずに入っているケースは多い
学資保険というと、支払った保険料が少し増えて戻ってくると思っている方が多いようですが、そうとも限りません。今まで相談を受けた中には、元本割れする学資保険に加入していることを知らないという方も少なくありませんでした。元本割れとは、支払った保険料の総額に対して、戻ってくる満期保険金が少なくなることをいいます。
これは、契約者である親や被保険者である子どもに死亡保障や入院保障が付いていることが原因。最近の学資保険には、こういった保障を重視して貯蓄性に欠ける商品もあります。
しかし元本割れするからといって悪い学資保険というわけではありません。保障部分に保険料が充当されている分、子どもが入院したときには入院給付金が給付されたり、契約者である親が万一のときには高校を卒業するまで毎年育英資金が給付されるなど、メリットもあります。
貯蓄型の学資保険、保障型の学資保険、それぞれにメリット・デメリットがありますので、もっと詳しくみていきましょう。
貯蓄型のメリット、デメリットまとめ
まず貯蓄型の学資保険は、支払った保険料の合計額よりも満期保険金やお祝金の合計額が多くもらえることが魅力のひとつ。契約時に金利が固定されているタイプが多く、保険料を満期まで支払い続けると、元本は保証されています。
また、保険料を払い込む期間の長さにより、満期保険金の返戻率が変わってきます。子どもが高校3年生になるまでの18年間コツコツと毎月積み立てるタイプもあれば、教育資金にさほどお金がかからない小学校を卒業するまでの12年間や10年間の短期間で積み立てるタイプがあります。
一般的には、払い込む期間が短いタイプほど、返戻率は高くなります。貯蓄性を重視するのであれば、毎月の保険料は高くなりますが、払い込む期間を短くすると良いでしょう。
また、この貯蓄型には、全く保障がないというわけではありません。親に万一のことがあった場合はそれ以降の保険料は払い込みが免除となり、満期保険金や節目節目のお祝金を受け取ることができます。
貯金が苦手な人や、計画的に教育資金を準備したい人などは、この貯蓄型が向いています。しかし最近の低金利の影響で、元本を大きく上回る学資保険は少ないようです。
子供が生まれてから18年後に受け取る学資保険の満期保険金、結構先が長いですね。これから先、金利が上向いてくることを考えると、今の低金利で固定されてしまう学資保険に加入することは、デメリットと考えることもできます。
保障型のメリット、デメリットまとめ
一方、「保障型」はさすが生命保険会社の商品というだけあって、保障が充実しています。例えば親に万一のことがあった場合、子どもが大学に進学する18歳になるまで毎年育英資金がもらえたり、一時金で死亡保険金が受け取れるような商品があります。
また、子どもが病気やケガで入院や手術、通院をしたときに給付金が受け取れるタイプもありますし、子どもの死亡保険金が付いているタイプもあります。親に万一のことがあった場合、保険料の払い込みが免除になるのは貯蓄型と同様です。
ただし、こういった保障が充実している分、保険料は貯蓄部分よりも保障部分に充当されてしまうので、支払った保険料よりも満期保険金やお祝金の合計額は少なくなります。すなわち、先にお話しした「元本割れ」するということです。
しかし元本割れするからといって、このタイプが良くないわけではないことは先述の通り。親の生命保険で保障される金額が足りない場合も、追加で高額の生命保険に加入する必要がなく、この保障型の学資保険で足りない保障を賄うことができます。また、子どもの入院保障を共済などに加入して賄う方が多いなか、他の生命保険に加入する必要がないので、これひとつで保障が万全ともいえるでしょう。
貯蓄型と保障型だとどっちがいいの?
人気があるのは圧倒的に貯蓄型の方です。今まで相談に来られた方の多くが、この貯蓄型を選ばれています。だからといっていちがいに貯蓄型が良いということではありません。親の生命保険金額が不足している場合や、子どもの入院保障のために共済など他の保険に加入しようと考えている人などは、保障型の方が良いでしょう。
また、契約者を父親にするか母親にするかも、学資保険に加入するときの重要なポイントです。貯蓄型、保障型どちらの学資保険にも、契約者が万一の時の保険料払い込み免除という保障がほとんどの契約に付いています。一般的に世帯主である父親を契約者とすることが多いようですが、母親が全く生命保険に加入していないという場合は、母親を契約者にするというのもひとつの方法です。
子どもが小さいうちは母親が亡くなったら大変です。受け取る保険金を子育てヘルパーの費用などにも充当できるので、母親を契約者にすることも良いでしょう。さらに共稼ぎのご夫婦の場合は、両方の名義で2本に分けて加入するというのもひとつの手段です。
最後に加入する金額の目安をみていきます。
子どもが生まれてから高校3年生までの18年間、毎月1万円積み立てると約200万円貯めることができます。もう少し頑張って、毎月1万5000円を18年間積み立てると約300万円貯まります。
お子さんが公立に進学するか私立に進学するかは、小さいうちはもちろん分かりません。そこで親が希望する進路や、毎月のやりくりに負担がない金額でとりあえず決めてしまい、コツコツ積み立てていくことをお薦めします。貯蓄型、保障型、どちらにするか正解はありません。まずは学資保険に加入する目的が何かを考えてから、選ぶようにしてください。