プライバシーも家族のつながりも両方叶えた劇的リノベの子供部屋
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監修・ライター
家を選ぶとき、子どもがいる家庭なら必ず考えるのが「子ども部屋」。
子どもの人数や年齢、性別によって子ども部屋のあり方はさまざま。今回はリノベエステイト代表・一級建築士の松山真介さんが手掛けたリノベーションから、いろんな子ども部屋の例をご紹介します。
事例1) 部屋が増えたり、減ったり。成長とともに形を変える子ども部屋
こちらのお宅の施主は、ご夫婦+幼児2人(兄妹)の4人家族。4LDKのマンションを購入して、リノベーションしました。
まだ子どもが小さいため、一人ひとりの個室は必要ないということで、主寝室+子ども部屋+LDKという2LDKに間取りを変更しました。
こちらが完成した子ども部屋。フローリングに針葉樹を使っているのが特徴です。
リノベーション前の部屋はこちら。合板に化粧板を貼った「複合フローリング」と呼ばれる一般的なフローリングでした。
「スギやパインなどの針葉樹は、空気をたくさん含んでいて柔らかいので、子ども部屋に向いているんです」と松山さん。
実際にサンプルを触らせていただきました。本当に、針葉樹の板は柔らかく、ほのかに温もりを感じました。
「柔らかい分、傷も入りやすいですが、無垢材ですから、それもまた味になります」(松山さん)
子ども部屋の広さは約4畳とコンパクトに設定。ベッドと机を置いたら、いっぱいになるくらいの広さです。一方、家族で過ごすLDKは約26畳と、広々ととりました。
写真上がリノベーション前のリビングルームです。
こちらがリノベーション後のリビングルーム。奥の壁の向こうが子ども部屋です。
子ども部屋とリビングルームの間仕切り壁の上部にはスリット窓を設けました。仕切られていても、何となくお互いの気配が分かるよう工夫しています。
子どもが成長して、子ども部屋が2つ必要になったら、リビングの一部を子ども部屋に変更する予定とのこと。約30万円あれば、仕切りとドアを簡単につけられるのだそうです。
「他にも、背の高い本棚を置いて仕切りにするという方法もあります。そうすると、もっと価格は抑えられます」と松山さん。
「お兄ちゃんが進学等で家を出たら、また子ども部屋を一つに戻して元の広いリビングにすればいいのです。実は、子ども部屋が一人に一部屋必要な時期というのは、そんなに長くありません。その時々の家族の状況に合わせて、間取りもフレキシブルに変えられるよう計画しました」
その代わり、子ども部屋とは別に、リビングの一角に子どもたちの机を置きました。こちらでお絵かきをしたり、折り紙を折ったりできます。小学生になってもしばらくは、ここで勉強できそうですね。
事例2)間仕切りが机に変身! リビングに設けたライブラリーのような勉強スペース
こちらはご夫婦+子ども3人のお宅。3LDKのマンションをリノベーションしました。
ここ数年「リビング学習」が注目されていますが、こちらも勉強するという機能を子ども部屋からリビングルームに移したプランです。
こちらのお宅では、和室とリビングルームの間に間仕切りと机を兼ねた家具を作り付けで設けました。
この家具の価格は約30万円。思ったよりもお手ごろ価格で、机を作り付けられるのですね。
写真上がリノベーション前の和室とLDK。写真の奥に少し写っているのがキッチンです。
キッチンが独立しているため、料理をしている間は子どもが何をしているか分からない状態でした。
こちらがリノベーション後。キッチンから見る景色が、こんなに変わりました!
これならキッチンで作業しながら、子どもが勉強している様子を見られますね。
この机は、和室の側からもリビングの側からも使うことができ、最大6人で同時に使えるそうです。まるで図書館みたい!
「例えば、子どもたちが勉強している横で、親が調べものをするとか、“学ぶ”というコミュニケーションがあってもいいのではないでしょうか」(松山さん)
事例3)ワクワク! 秘密基地のようなロフトがある子ども部屋
こちらは2LDKのマンションをリノベーション。施主は、ご夫婦+子ども2人(姉妹)です。
天井が高いお宅だったため、リノベーションの際にロフトを作りました。ロフトを作るのにかかった費用は約80万円。ロフトの下は収納、手前が勉強スペースになっています。
姉妹ということもあり、当面は相部屋です。一人ひとりのスペースがほしくなったら、ロフト下のスペースと手前のスペースというふうに分けることもできますね。
ロフトの上はこんな感じです。秘密基地みたいですね!
ロフトって、誰もが一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。ロフトを作ったことで子ども部屋が広くなり、子どもたちが存分に遊べるようになりました。
ご夫婦は自宅で仕事をしているため、子ども部屋の隣を仕事部屋にして、間仕切り壁にスリット窓をつけました。
写真手前が仕事部屋です。窓の向こうに子ども部屋のロフトが見えます。仕事をしながら、子どもたちが遊ぶ様子も見られるのがいいですね。
子どものプライバシーも、家族のコミュニケーションも大切にした子ども部屋のリノベーション事例を見ていただきました。どんな子ども部屋にしたいか考えることは、どんなふうに子どもを育てたいか考えるということかもしれませんね。
※《画像提供》いずれもリノベエステイト