将来もらえる年金の受給額はいくら?推移を見ながらわかりやすくFPが解説
目次
進む少子高齢化の中で、はたして将来年金がもらえるのか、もらえても自分たちのときには受給額がどのくらいになっているのか、と不安に思う若い世代は多いと思います。
今回は、年金受給額の現状や受給額の推移、将来もらえる年金の計算方法などを紹介します。また、将来に備えて考えておきたい準備も併せて紹介しますので最後までどうぞお付き合いください。
1. 今の年金受給額はどのくらい?
年金の受給額は、現役世代のときの年金加入状況によって異なります。
自営業が加入する「国民年金」のみの人と、サラリーマンや公務員が加入する「厚生年金」と「国民年金」両方に加入している人では年金の受給額にかなり差があります。また、厚生年金に加入している人でも納付期間や現役世代のときの平均給与によって年金額は変わります。
1-1. 国民年金(老齢基礎年金)/厚生年金(老齢厚生年金)の受給額は?
国民年金(老齢基礎年金)の2019年の満額は、毎月6万4941円(年間77万9300円)です。これは20歳から60歳まで40年間で1カ月も欠かさず国民年金保険料を納めた場合の年金額です。
今は20歳になったら学生でも国民年金の保険料を納付する義務がありますが、平成3年3月まで
はなかったので、40年間国民年金の保険料を納付して満額受け取っている人はさほどいません。
国民年金の平均受給額は、約5.5万円となっており、満額支給との差が1万円ほどあります。
一方、厚生年金の平均受給額は、約14.7万円となっています。もちろん現役時代の平均給与によって異なりますが、計算上は国民年金だけの人の約3倍もらえる計算です。
1-2. 世帯構成別の年金受給額平均
では次に世帯構成別で年金受給額の平均を見ていきます。
総務省が毎年調べている家計調査報告(家計収支編p18)によると、
●夫婦世帯の年金の平均受給額は月額20万3824円
となっています。これは平均的な夫婦世代の受給額で、前提条件は夫が会社員、妻は無職で第3号被保険者ということになっています。
この家計調査報告によると、老後の生活費が毎月約26万円かかっているので(税金・社会保険料含む)、毎月赤字で貯金を取り崩して生活しているということになります。このデータが例の老後2000万円不足問題の根拠となったデータです。
次に、単身世帯の年金の受給額を見ていきます。
●単身世帯の年金の平均受給額は月額11万5059円
となっており、夫婦世帯のおよそ半分ほどです。単身世帯でも毎月の不足額が約4万円あるという調査結果になっていますので、どの世帯も何らかの自助努力は必要となってきます。
1-3. 男女別 厚生年金の平均受給額
次に男女別の厚生年金平均受給額を見ていきます。
過去に支給開始年齢が引き上げられた経緯があり、65歳未満と65歳以上の平均受給額に差があるため、ここでは65歳以上の平均受給額を掲載しています。
厚生労働省年金局の調べによると、65歳以上の方の厚生年金の平均的な受給額は、
●男性 月額17万4535円
●女性 月額10万8776円
となっています。
男女の受給額の差が何と6万円以上もあります。これは現役時代の納付期間や平均給与の差があるためです。この数値を見て女性は不安に思ったかもしれませんが、現在65歳以上で年金を受給している女性は、今現役の女性のように厚生年金保険料を納付していませんので、女性の平均受給額は今後上昇傾向にあると思われます。
次は、実際に受給額がどのように変わってきているのか、過去5年間の推移を見ていきましょう。