10%消費税、増えた税金の使い道や内訳って実際何だっけ?FPが分かりやすく解説
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筆者が子供のころは、100円玉を握りしめ自動販売機のジュースを買いに行くのが楽しみでした。
その後、1989年4月に消費税3%が導入され、それに伴い自動販売機のジュースは110円に。子供ながらに世の中が大きく変わっていることを感じたのを覚えています。
そもそも消費税は年金、医療、介護といった、特に高齢者向けの社会保障や少子化対策に要する費用に充てると法律で定められています。これを「社会保障4経費」といいます。ご存知のように、日本は少子高齢化社会に突入しており、現在、国の予算で最も大きな割合を占めるのが「社会保障関係費」で、歳出(支出)の3割以上を占めています。
私たちが病気や失業などをしても一定の生活ができるようにさまざまな制度が設けられており、それに最もお金がかかっているのです。もちろん、そのために健康保険料をはじめとする社会保険料を負担しているわけですが、少子高齢化により働く世代が減っていく中で、社会保険料だけで充実した社会保障制度を維持することが難しくなりました。そこで消費税が大きな役割を担っているのです。
税金の使い道…そもそも消費税が10%に増税した背景とは
「赤字国債」というのをご存知でしょうか?文字通り赤字を穴埋めするように国が発行する債券です。特にバブルが崩壊して以降、国の税収はじりじりと落ち込み、その一方で国の歳出はどんどん増え、赤字国債も増えていきました。景気が悪く給料も上がらない。一方で働く人が減り、高齢者が増えて、年金受給者も増えていく。どんどん国の収入が減り、支出が増えていく、バブル崩壊以降の1990年代や2000年代の様は「失われた10年」あるいは「20年」と呼ばれました。
消費税の増税は、この減っていく税収を補うために行われました。段階的に2度の増税(3%→5%、5%→8%)のおかげもあって、税収は徐々に回復。バブルピーク時ほどの水準まで回復しました。しかし社会は高齢化が進んでいたため、社会保障費もこの30年程度で3倍程度まで増大。税収は増えましたが、社会保障費という支出も増えたわけです。
赤字国債の問題も残っています。国債を発行するということは借金をすることを意味するため、借金には利息の支払いが伴い、そしていずれ返済しなければなりません。これらを「国債費」と言い、この国債費も増加傾向にあり、社会保障費に次ぐ歳出となっています。
このように高齢化が進み、国の支出も増えていく中で、社会保障のためのお金を社会保険料で賄おうとすると、働く世代や若い人たちにとって非常に大きな負担となっていきます。国債発行を増やし続けることも将来へ負担を先送りにすることになり、限界があります。
こういった状況を背景に、8%だった消費税はさらに2%増税され、10%へと至ったわけです。
消費税の使われ方、その内訳は?
消費税はまず3%でスタートし、その後1997年(平成9年)に5%となり、2014年(平成26年)に8%となりました。ちなみに消費税は、厳密には国税である消費税と、地方消費税の2つがあります。よって、5%の時も消費税は4%、地方消費税が1%であり、その合計が5%だったのです。厳密な言い方をすると「消費税及び地方消費税」または「消費税等」となります。
以下は「消費税等」が8%のときの内訳です。全体のうち1.7%が地方消費税で、国税からも一部が「地方交付税」として都道府県や市町村といった地方公共団体へ交付されています。
2019年(令和元年)10月には、一部軽減税率対象のものが8%で据え置き、それ以外が10%と増税されました。それらを含めた2019年度予算では消費税(国と地方の合計)は24.3兆円が見込まれています。
社会保障には年間どのくらい給付されているの?
ここで気になるのが、高齢者の方が受給している年金はじめ、社会保障の給付額です。財務省によると、2020年度(令和元年度)の給付総額は123.7兆円もの金額となります。その内訳は次の通りです。