築30年の古い団地がモダンな大人2人暮らしの空間に劇的リノベ!
監修・ライター
毎回、住まいづくりのポイントを豊富な施工例とともに教えてくれるリノベエステイト代表・一級建築士の松山真介さん。
今回は、一軒まるごとのリノベーションの実例を見せていただきました。少し懐かしい感じもある団地の一室が、オシャレなお宅にガラリと変身していますよ!
趣味も楽しめる広々LDKに
今回ご紹介するのは、築30年以上、79㎡3LDKの団地タイプの物件を購入し、リノベーションしたケース。施主は30代のご夫婦です。
《リノベーション前・後の間取り図》
「本をたくさん持っているから、それらを楽しむライブラリースペースがほしい」
「料理が好きで、食べながら料理を楽しみたい」
というご希望がありました。そこで、広いLDKにして、一部をライブラリースペースにするという間取りに変更しました。
こちらがリビングと一体となっているライブラリースペース。壁一面を棚にして本を置けるようにしました。機能的かつオシャレですよね。棚板は可動式にして使い勝手をよくしています。
この団地は壁が構造体となる壁式構造で、動かせない壁があります。その耐力壁を利用して、リビングとライブラリースペースの間にちょっとした仕切りをつくりました。
こちらがリノベーション前。このリビング横の和室をライブラリースペースに変えました。
そして、こちらがリノベーション前のキッチンの様子。暗くて奥まったところにあり、家族がいるリビングに背を向けて調理しなくてはいけませんでした。
リノベーション後のキッチンです。調理台とダイニングテーブルをつなげて、食べながら料理を楽しみたいというお二人の夢を叶えました。
ダイニングテーブルは、ご夫婦の好みのテイストを取り入れて、松山さんがオリジナルで作ったそうです。
ダイニングに続くリビングルームでは、映画鑑賞も楽しめます。
ライブラリースペースは白い壁できれいめに。ダイニングキッチンは、あえてダクトを見せ、壁紙も張らずコンクリートの壁にするなどラフに。
仕上げを変えることで、開放的な広いワンルームでありながら、ゾーンを分ける工夫をしています。
今の生活を楽しみながら将来に備える、フレキシブルな間取り
ご夫婦からは、将来子どもができたときのために、子ども部屋に転用できるスペースがほしいとのご希望もありました。
かといって、前もって子ども部屋を作ってしまったら、そこは使えないスペースになってしまいます。そこで、2つ並んでいた部屋をつなげて1つの部屋にして、夫婦の寝室+ウォークインクローゼットにしました。
ベッドの向かって右側に約3畳もの広いウォークインクローゼットがあります。こちらに収納を集約することで、部屋が散らかりにくくなりました。
将来子ども部屋が必要になったときは、間仕切りをつくって、2部屋に分ける予定。そのため、寝室には、あらかじめ出入り口となる引き戸を2つ作っています。右側の手前に1つと、写真では見えませんが、右側の奥まったところにもう1つあります。
そして、洗面所もガラリと変わりました。
上がリノベーション前。
こちらがリノベーション後。洗面台の他に家事スペースを作りました(写真奥)。洗濯物を畳むなど、ちょっとした家事ができます。
リノベーション物件として「団地」を選ぶメリットとは?
松山さんによると、築年数が経った団地タイプの物件は、メリットが大きいそうです。
・敷地がゆったりしていて、団地内に緑が多い。子どもが遊べる公園もある
・階段室型(階段の両側に住戸が一戸ずつあるタイプ)が多く、通風や採光、プライバシーにおいて優れている
・アクセスが便利な場所でも物件価格がお手頃
・戸数が多いため、修繕積立金や管理費が抑えられる
・長い歴史があり、管理のノウハウや成熟したコミュニティがある
さらに、今回の物件は5階建てでエレベーターがない団地。エレベーターがないと敬遠しがちですが、エレベーターのメンテナンス費用がかからないというメリットがあるそうですよ。
松山さんは、ご夫婦のライフスタイルを丁寧にヒアリングし、いくつも設計プランを提案。そうして作り上げたのがこのお宅です。リノベーションにかかった費用は1㎡当たり約17万円だそうです。
とはいえ、これが完成形ではありません。家族が増えたら新たな形に変えられる、そんな余白のある家です。理想の住まいを手に入れるには、今のライフスタイル、そしてこれからのライフプランをよく話し合うことが大切なんですね。
※《画像・図提供》いずれもリノベエステイト