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消費者のためのわかりやすいFinTech(フィンテック)~第10回「フィンテックで変わる私たちの生活」~

ためる 伊藤 志保

消費者のためのわかりやすいFinTech(フィンテック)~第10回「フィンテックで変わる私たちの生活」~

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地域内で助け合い困っている人がいたら手を差し伸べるという文化は、現代社会においては残念ながら廃れつつあります。

しかし、私たちがそういった助け合いの心を失ってしまったわけではありません。困っている人を支援するアプリが今、脚光を浴びています。

一方で、不要なものを簡単に現金化できるアプリも登場しました。フィンテックの進展により、私たちの生活は大きく変化しつつあるのです。

フレンドファンディングアプリ「polca(ポルカ)」の登場

ポルカ
polca


「地域の子どもたちのために子ども食堂を開きたいけど予算がない」「友人が家を新築したので知り合いみんなでお金を出し合って家具を贈りたい」などなど、ごく身近な人達の間で少額のお金を集めるケースはよくあります。

また、「今月の生活費がピンチ! ちょっとだけ援助して欲しい」といったケースで使われることもあります。

フレンドファンディングという名称が使われている通り、こうした際に使われるアプリ「polca」は"友人同士で気軽に金銭の授受が行える"ことを目的としたサービスです。

300円程度の少額支援がメインであるため、実際の友人関係だけでなく、twitterやfacebookなどでユルくつながっている間柄でも支援し合う場面が多く見受けられます。ちょっと理解しにくいかもしれませんね。

 前回のクラウドファンディングが世界中を対象とした「大きなインターネット」の世界であるならば、polcaのようなフレンドファンディングは「小さなインターネット」の世界で実現しているアプリと言えますね。

まるでネット上の質屋!「CASH」で不要なものを手軽に現金化!

キャッシュ
CASH

以前から、「元カレからもらったものやクリスマスにもらったブランド品のプレゼントをネットで売る」ということが取りざたされています。

こういったケース以外にも、手元にあるブランド品などが不要になった場合、何かと処分に困ることが多いのではないでしょうか?

昨年夏にリリースされた「CASH」は、ブランド品を一瞬で現金に変えることができる便利なアプリです。

操作は非常に簡単です。アイテムのカテゴリーを選択し、写真を撮って送るだけ。次の瞬間には査定額が表示され、承諾すれば現金が手に入ります。アイテムは後日宅配便で送るだけでOKという手軽さも相まって、瞬く間に多くのユーザーを獲得しました。

 メルカリより簡単に現金化できるこのアプリの登場によって、家で眠っているブランド品を現金化する方法が増えたことになります。

これからの「個の時代」にフィンテックが果たす役割

フィンテック
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このように、FinTechの進展により、今まで数値化できず評価されなかったモノやコトが、評価され数値化され流通しつつあります。

 また、何かしらの事業やプロジェクトを行う際の資金調達も、「再三の審査を経て何百万~何千万という融資を受ける」という時代から、「少額の資金を集めてアイディアをすぐに形にする」トライ&エラーを繰り返しながらより良いものを世に出していく時代へと移行しています。

 つまり、個人が越えられるハードルが低くなりチャレンジしやすい時代へと変わっているのです。


「個の時代」の到来を資金面からバックアップしていく多くの仕組みを、フィンテックの視点から解説してきましたが、今後もこの流れは留まることなく、多くの新たなサービスが次々と生み出されていくことでしょう。


今まで、全10回にわたりフィンテックと私たちの生活の変化についてお話ししてきましたが、このシリーズは今回で一旦終了します。

今後もフィンテックにより、私たちの生活は簡単で快適になっていきます。これからも「お金」に対するアンテナを張り巡らし、より便利に、より豊かに生活できるような情報を発信していきますのでよろしくお願いいたします。