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60歳で完全リタイアするのに必要な資金と貯め方は?/40代女性FP相談

うちの家計簿 世継 祐子

60歳で完全リタイアするのに必要な資金と貯め方は?/40代女性FP相談

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は、42歳女性会社員、Dさんの家計簿です。60歳で会社を退職する早期リタイア、いわゆる「FIRE」を目指していらっしゃいます。60歳で完全リタイアをするには必要資金はいくらでどのように貯蓄をしていけばいいのか、考えてみましょう。

完全リタイアを目指す40代会社員Dさんの相談内容

現在の年収は約600万円で貯金残高は約500万円です。65歳からの年金額の見込み額は200万円程度で退職金は1000万円程度を見込んでいます。今年から資産運用を始めました。今のところ家を持つ予定はありません。60歳で仕事を辞めて自分の時間を作る「FIRE」を目指したいと思っています。60歳でリタイアするには、いくら位貯めることを目標にすればいいでしょうか。

40代独身Dさんの家計簿は・・・?

手取り30万2110円。毎月手取りの約20%の6万2000円を貯金・資産運用にあてています。つみたてNISAの積立額3万3000円、旅行積立貯金が1万2000円です。貯金以外の生活費は24万110円。現在の貯蓄額は500万円です。

「FIRE」とは

Financial InDepenDence, Retire Early」の頭文字をとったもので、経済的に自立して早期退職を目指すライフプランのことです。長引くコロナ禍で「仕事」と「生活」のバランスを考え、自分らしい生き方を実現しようと考える方が増えていらっしゃるように思います。
今回はDさんの「60歳で仕事を辞める」という目標達成のために必要なことを考えていきましょう。

無収入の期間の生活費はいくら必要か?

Dさんの年金の見込み額200万円は年金保険料を60歳まで納めて65歳から受け取った場合の金額です。60歳で仕事を辞めた場合、年金受給開始までの5年間が無収入となりますのでこの5年間の生活費をまず準備することが大切です。

Dさんの貯金以外の生活費が24万円、保険料の2万7840円は60歳で支払いが終わるとのことで60歳以降の生活費を仮に20万円として考えてみます。すると5年分の生活費は

①     20万円×12カ月×5年分=1200万円

となります。

65歳から100歳までの生活費の不足額はいくらか?

貯金する女性
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現在の年金の見込み額が200万円とのことですので、月々の生活費を20万円、年間生活費240万円とすると毎年40万円が不足することになります。65歳から100歳までの不足する生活費を計算してみると、

②     40万円×35年=1400万円

①    と②の合計額は1200万円+1400万円=2600万円 

となります。この不足額から現在の貯金と見込みの退職金を差し引くと

2600万円-(現在の貯金500万円+退職金見込み1000万円)=900万円

となり、貯金や退職金を使っても、なお900万円が不足することになります。900万円を60歳までの18年間で貯めるためには、

900万円÷18年=50万円

となり、年間50万円を貯めていけば900万円が貯まる計算になります。Dさんは現在月5万円、年間60万円貯めているので、このまま順調に貯金できれば、60歳までに900万円以上を用意することができそうです。

基本生活費以外のお金

60歳以降完全に仕事を辞めた場合、Dさんには多くの時間があります。24時間のうち7時間眠るとして18時間が自由に使えるようになります。この時間をどのように使うかできるだけ具体的に考えてみましょう。時間割を作るようなイメージで過ごし方を考えてみてください。

やりたいことはなんでしょう。基本生活費以外にどんなことにお金を使いたいですか。今も旅行積立をされていらっしゃるので60歳以降も旅行を継続したいとお考えであれば、行きたい場所などを検討し予算を立てていきましょう。

例えば年間50万円を旅行予算として考えると、60歳から75歳までの15年間で750万円必要となります。毎年50万円の予算とせず、3年に1回は海外旅行に行くなどさまざまな計画が立てられます。

早期リタイアして60歳から65歳までは何をして過ごし、65歳から70歳まではどのように過ごすなどできるだけ具体的にイメージして資金面を考えていくことで、実現も可能になってきます。

住居費と介護の費用

車いすに乗った人形と積み上げたコイン
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Dさんは現在、持ち家を持つ予定はないということですが、退職後どこで暮らすかは未定とのこと。退職後、無収入になってからでは新たに賃貸契約を結ぶことが難しくなることも考えられます。どこで暮らすかということも、その後のライフプランに大きく影響してきますので住む場所、費用も検討していくことをお勧めします。

Dさんは40歳から公的介護保険料を負担されています。公的介護保険に加入しているのでまずは加入している公的介護保険の内容も確認しておくことが大切です。

65歳以上の介護保険加入者の要介護(要支援)認定者数と被保険者に占める割合をみると、65歳以上の18.3%、645万人が要介護状態との報告があります(介護保険制度の概要/令和3年5月厚生労働省老健局)。

シングルの場合、家族からの介護などが受けにくい状況が考えられますので、介護サービスが必要になったときにどのくらいの費用が必要になってくるか、公的な介護保険の内容を確認しながら、自分が希望する介護サービスの内容も費用面も含め確認しておくようにしましょう。

資産運用について

今年から資産運用を始めたそうですが、お金を貯めるだけでなく資産運用することで運用実績が見込めれば、お金が増えていくスピードが速くなります。増えたときは元金からどのくらいの割合で増えたか、マイナスになったときは元金からどのくらい減ったかなど確認をしながら、「長期、分散、積立」を基本に運用を継続していきましょう。

60歳でリタイアしたあとも資産運用を継続し、少しずつ必要な資金を取り崩していくことでお金の寿命も長くなります。

アドバイスを受けたDさんの感想

漠然と60歳で仕事を辞めたいと思っていました。簡単ではないことは分かりましたが、なんとかなりそうな気もしています。でも60歳以降、どこでどう暮らすかまではあまり考えていなかったので考えてみようと思います。自分が60歳になったときは両親の介護が必要になってくるかもしれません。40歳から介護保険に加入していたことには気が付いていませんでした。内容を確認してみたいと思います。

家計簿診断を終えて

介護サービスを受けるにはまず介護申請が必要となります。健康保険証の使い方は知っていても介護保険証をみたことがない方は多いかもしれません。老後資金を考える上で介護の費用も盛り込んでおくことが大切です。公的介護保険の内容は今後変更となる可能性もありますので、確認するようにしておきましょう。「FIRE」実現できるといいですね。

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