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【2022年版】税制改正、私達の暮らしに関わるお金の話題まとめ

そなえる 権藤 知弘

【2022年版】税制改正、私達の暮らしに関わるお金の話題まとめ

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毎年行われる税制改正とは?

国は毎年、社会情勢に合わせて税金の仕組みを調整する「税制改正」を行っています。毎年12月に次年度の税金に関する制度の改正案を提出し、翌年4月に施行するというスケジュールです。2022年もさまざまな制度の変更が予定されていますので、私たちの暮らしにどのような変更があるのかを見ていきましょう。

住宅ローン控除の控除率が1%から0.7%へ

今回の税制改正で一番大きな変化は住宅ローン減税の変更です。これまでは住宅ローンの年末残高の1%分が控除されていましたが、今後は控除される率が0.7%となります。住宅購入を考えている人にとっては残念な改正となりました。

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成人年齢が18歳になり、学生でも契約の責任が発生

民法が改正され、成人年齢が20歳から18歳に変更されます。2022年4月1日の段階で18歳を超えている人は即成人になり、それ以降は18歳の誕生日を迎えると成人として扱われます。高校や大学に通っている人も18歳であれば法律上は成人となり、不動産や金融関係の契約も自分の意志で行えるようになります。

親の同意がない場合の契約は取り消しできるなど、未成年者が契約する場合、一部は法律で保護されていますが、今後は高校生でも18歳以上であれば契約関係での責任が発生します。

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年金を受給開始できる年齢が70歳から75歳へ拡大

現在、年金の受給開始年齢は基本的に65歳からですが、60~70歳の範囲で受給開始年齢を選べる繰り上げ受給・繰り下げ受給という仕組みがあります。

今回の改正で、4月からこの受給開始年齢の幅が60~75歳へと拡大します。老齢年金は早めに受け取り(繰り上げ受給)を開始すると受給額が1カ月あたり0.5%削減されますが、この削減率が0.4%となり、従来よりも受給額が増えます。

一方で、年金を65歳より後に受け取る繰り下げ受給をすると1カ月あたりの受給額は0.7%増加する仕組みがあり、75歳まで受給開始を遅らせると年金額が65歳受け取り開始と比較して約1.8倍まで増加します。受給開始年齢を遅らせるほど、もらえる年金が増えるということです。

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iDeCoの加入可能年齢が60歳未満から65歳未満に延長

5月からは、これまで60歳未満だったiDeCoの加入可能年齢が65歳未満に延長されます。iDeCo(個人型確定拠出年金)は、60歳まで自分で資金を積み立てる、老後資金を準備するための仕組みです。

対象になるのは60歳以降も厚生年金の保険料を納めている人と国民年金に任意加入している人です。老後資金を増やすための有効な方法であるため、iDeCoを利用できる期間が増えることは良いことだと思います。

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パート・アルバイトで働く人の厚生年金に加入する幅が広がる

パート・アルバイトで働く人
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2022年3月現在、パート・アルバイトなどの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の加入が義務付けられているのは、従業員501名以上規模の企業です。この対象企業が2022年10月から従業員101名以上の企業へと拡大され、2024年10月には51人以上の企業も対象になります。

厚生年金に加入することで将来の年金が増える一方で、現在の手取り金額は減ってしまいます。配偶者の扶養範囲で働いている人にとってはかなり大きな変化になるでしょう。

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年収1200万円以上の家庭への、児童手当の特例給付廃止

児童手当
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現在の児童手当は中学生以下の子どもを対象に、1人あたり原則で月額1万~1万5000円が支給されていますが、一定以上の所得がある世帯は「特例給付」として児童1人あたり一律5000円に減額されています。

特例給付になる所得は扶養家族の数によって異なりますが、子どもが2人いる会社員の夫と専業主婦の世帯の場合、夫の年収が960万円以上あれば特例給付の対象になります。2022年10月以降は世帯主の年収が1200万円以上の場合、特例給付が無くなります。

企業型DCとiDeCoが、より併用しやすく

これまでは、勤め先に企業型DC(企業型確定拠出年金)がある場合、労使合意に基づく規約の定めがあり、なおかつ事業主掛金の上限を引き下げた企業でしか、企業DCとiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用は認められていませんでした。

しかし、2022年10月の制度改正により、基本的には企業DCが導入されていてもiDeCoで積み立てることが可能になります。ただし、マッチング拠出制度を導入している企業の場合、マッチング拠出かiDeCoのどちらか一つになります。

後期高齢者の医療費負担が1割から2割へ負担増

現在、75歳以上の後期高齢者の医療費負担割合は、所得によって異なります。現役並みの所得(住民税課税所得が145万円以上)がある人は3割、それ以外の人は1割となっていますが、10月以降は2割負担が設定されます。少子高齢化が進むことを考えるとやむを得ないと言えるでしょう。

まとめ

2022年もお金に関するさまざまな改正が予定されています。中でも住宅ローン控除の控除率の変更は住宅取得の資金計画に影響が出るでしょうし、社会保険の適応事業所の範囲の拡大は、現在パート・アルバイトで働いている人にとっては収入の変動が大きいでしょう。

ご自身が対象になりそうな方はしっかり確認していきましょう。