ジャパンリスク対策!? ~海外に銀行口座を開設するのは本当にオトクか? その1
「先日同じタイミングで退職した友人が香港に銀行口座を開設し、『お前も開設した方がいいぞ』と薦めてきたのですが、私も開設すべきですか?」
これは実際に、お客さまから相談のあったケースです。退職金の運用先の一部として、海外銀行口座を検討されているということでした。
最近、日本経済はかなり回復傾向にありますが、少子高齢化に伴う日本経済の先行き不安や財政問題、そして相続税改正(課税対象者の増加)などを受けて、日本国内だけでお金を管理することにリスクを感じている人は多いようです。
加えて、日本は超低金利状態が長く続いています。より魅力ある金融商品や金融取引を探し、海外に目が向く方もいます。
こういったことがきっかけとなり、海外の銀行に口座開設を検討される方が多いようです。
そこで今回は海外に銀行口座を持つメリットとデメリットについて、お伝えしたいと思います。
海外口座を開設するメリットって何?
では、海外にわざわざ銀行口座を開設するメリットは何でしょうか?
私もこうした相談を受ける機会が増えたこともあり、自分で香港とシンガポールで銀行口座を開設した経験がありますので、それを踏まえてまとめました。
<メリット>
・分散投資になる
・より魅力的な投資商品を検討できる
・その国に旅行や出張などで出向く機会が多い場合は口座があると便利
私の場合は本当に少額でしたが、やはり分散投資先として有効であると感じました。分散投資とは、何か1つの資産ではなく、株や債券、外貨といった資産に分けることで、価値(価格)の下落や破たんリスクなどを軽減する方法です。
例えば、国内銀行で、円預金だけではなく外貨預金を始めることも分散投資になります。でも、もし銀行が破たんした場合、預金元本1000万円とその利息が保護される仕組み(ペイオフ)がありますが、外貨預金は対象外となり保護されません。そういう点では、実際に海外の銀行に自分の資産の一部があるのは「本当の意味での分散投資になる」と感じました。
さらには香港やシンガポールでは、金融サービスが充実していることが挙げられます。さまざまな投資商品、手数料が有利な商品なども多く、FPである私から見ると魅力的な取引がいくつもありました。
また、香港に口座開設して数年後に再訪する機会がありましたが、やはり現地の銀行口座があると旅行もスムーズでした。
海外口座のデメリットやリスクにも目を向けよう
それでは、海外口座のデメリットとは?
<デメリット>
・開設するのが大変(年々厳しくなっている)
・語学力(英語)が必要
・日本と取引ルールが違う
まず、口座を開設すること自体が大変です。口座開設をサポートする業者などもありますが、一定の費用がかかります。
私の場合は仕事に生かすという目的があるので自ら出向きましたが、それもまた大変でした。渡航前に情報を調べ、国際運転免許証まで発行(最終的には使いませんでしたが・・・)、いざ現地につきホテル近くの銀行支店に行くと、「居住者じゃないから開設できない」と断られ・・・。その後、別の支店でなんとか開設できましたが、その日はクタクタになり、その後予定していた観光を取りやめ、ホテルに帰ったのを覚えています。
また、香港・シンガポール、いずれのケースも基本、英語でのやりとりとなります。当時私は英語の勉強を始めたばかりだったこともあり、当日朝からドキドキし、一生懸命集中しながら銀行員の話を聞き、ようやく開設できました。
口座開設はある程度会話の想定ができます。口座=アカウント(account)、開設=オープン(open)、預金=デポジット(deposit)など最低限の用語を抑え、簡単な挨拶や質問の仕方を覚えれば何とかなりそうな印象でした。
ただ、語学力が求められるのはむしろ口座開設後でした。いざ開設後も基本は英語で郵送物が届き、ネットでログインしようとすると、もちろん英語・・・。何かとストレスを感じます(笑)。
また私の場合、「半年以上取引が無いと取引をロックし口座が使えなくなる」との案内が届いたため、年に数回、わざわざコンビニで少額ずつ引き出すといった手間もかかりました。
また、日本の銀行と違って、残高が一定以下の場合にはマンスリーフィー(月額費用)が発生します。さらに、私は口座開設後に引っ越しをしたため、住所変更等の手続きなどで何かと気をもむことに。
「海外口座」が本当に必要か、事前によく検討を!
当初は海外に口座を開設するという行為自体に気持ちが向かいますが、それよりも、その後の利用の仕方などを含め、本当に「海外口座」を持つ必要性があるかどうか、事前にしっかり検討すべきです。
私の経験談は、5年ほど前のことです。今ではさらに香港などで日本人が口座開設するのは難しくなっています。また、「海外口座は相続対策として有効」といった情報も多いようですが、現実には異なる点もあります。
次回はさらに踏み込んで、税金面やその他取引面などから海外銀行口座について見ていきたいと思います。
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ジャパンリスク対策!? ~海外に銀行口座を作るのは本当にオトクか? その2